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下の前歯が上の前歯よりも前方に出ている「受け口」。医学的には「反対咬合(こうごう)」と呼ばれ、三歳児検診で4―5%の子供に見つかるとされる。歯科医を受診すると「永久歯が生えるまで様子を見ましょう」と言われることも多いが、寝ている間に口に入れるだけで治せる特殊なマウスピースが昨年発売され、早期治療に有効な方法として注目されている。
▽少ない自然治癒
反対咬合用のマウスピースを開発した東京都調布市の調布矯正歯科クリニックの柳沢宗光(やなぎさわ・むねみつ)院長によると、反対咬合の最も大きな問題は、下あごが通常よりも前に出るという「見た目」だ。
いじめの対象になることもあり、特に女児の場合は「意地悪そうに見えるので治してほしい」と親が訴えることが多い。親自身が反対咬合のケースも多く「自分は治せず、ずっと嫌な思いをしてきたので、子供は治してやりたい」と訴えることも少なくない。
だが「これまで早期治療はほとんど行われてこなかった」と同院長。乳歯段階での適切な治療法がなく、永久歯への生え替わりとともに自然に治ることを期待したためだが、自然治癒することは実際には少ないという。
▽数カ月で治癒
このような中、同院長は特殊な形状の「ムーシールド」というマウスピースを考案。舌を上に持ち上げて、上の前歯やあごに圧力が加わるようにするなど、口の周囲の圧力バランスを改善できるよう工夫した。
出っ歯治療用の米国製マウスピースを参考に1982年に初めて作製。反対咬合の子供に試したところ、わずか1、2カ月で治り「自分でもびっくりした」と同院長。国内の学会で発表してもすぐには認められなかったが、2001年に米国で発表したことをきっかけに米企業が製品化に乗り出し、国内でも認められるようになってきた。
使用法は就寝中に口に入れるだけ。家族に反対咬合が多いなど遺伝的要因が強い一部の例を除き、早ければ1カ月程度、多くは数カ月で治る。専門的な検査が必要だが、あごの骨が成長中の15―18歳程度まで使用可能で、副作用は特になく、装着時の違和感も子供はすぐに慣れるという。
「ムーシールドで筋肉のバランスを整えれば歯やあごが正しい位置に戻る」と同院長。「三歳児検診で反対咬合が見つかったら、ただ様子を見るのではなく、ムーシールドを使ってみてほしい」と話している。
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