|
『予防医学 3』 発病させず共存も 荻野景規金沢大教授 |
―高齢化が進むとがんで亡くなる人はさらに増えるとされていますが 「そうですね。脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの生活習慣病は減らせても、人間の寿命は永遠ではないので、最終的に死ぬ病気がある。それが基本的にがんだと思います」 ―がんになるのは自然の摂理だと? 「がんは遺伝子が傷つくことで引き起こされます。傷は遺伝子の複製ミスも大きな原因で、複製回数が重なる高齢者ほど発症の確率は上がります。でも働き盛りで発症するがんは違うことがある。職場を含めた生活環境の影響が無視できません。そういうがんは予防しないといけないと思うし、可能だと思います」 ―例えば? 「今、問題になっているアスベスト(石綿)による中皮腫などの肺がんがそうですね。でも国が進める研究は『どの程度暴露した人が発症の危険が高いか』というリスク評価ばかり。それより『どうすれば発症を抑えられるか』という研究に力を注ぐべきです。例えばアスベストに喫煙が重なると発がんリスクは増加します。不安に思っている人は何百万人といるわけですし、発症抑制の研究が優先するはずです。国が研究費を出してくれれば、多くの研究者が参加して、成果は出ます」 ―肝がんや白血病、子宮がんなど、ウイルス感染が関与するものもあります 「ヘリコバクター・ピロリ菌による胃がんもそうですが、これらは予防医学が得意な感染症予防ですからリスクは減らせます。それにC型肝炎ウイルスが残っていても、肝がんを発症しない予防的治療法が見えつつあります。今後はそういう研究が重要になります。完治しなくても、うまく制御してがんを発症せずに平穏に過ごせれば、病気を予防したとも言えますから」
|