|
拍動も動画で再現可能 最新鋭のX線CT |
エックス線CT(断層撮影装置)の進歩が著しい。9月から日本で発売が開始され
た最新鋭機では、体をミリ単位以下の幅で高速に断層撮影。そこで得られた膨大な
データをコンピューターで再構成し、瞬時に体の任意の場所の断面を見たり、骨や血
管、臓器などを詳細なカラー立体画像で再現できる。特に心臓は拍動する様子も動画
で見ることができ、これまで手間がかかった検査や評価が簡単に済みそうだ。
▽16列同時撮影エックス線CTといえば、1枚1枚、体を輪切りに撮影し、その断層写真を見て、 臓器のがんなど、異常を見つけるというイメージが普通だった。 1回に1枚(1列)ずつ輪切りの写真を撮る。これは現在「シングルスライス」と 呼ばれる機種に当たる。撮影時間を短くするため、1回に2枚(2列)、あるいは4 枚(4列)撮る方向にCTは発達してきた。 今回発売されたシーメンス旭メディテックやGE横河メディカルシステムなどの最 新鋭機は、これが一気に16枚まで進化。「16列同時撮影マルチスライスCT」と 呼ばれ、1mm以下の幅で1度に16枚の断層撮影を行う。 つまり、厚さ約1cmの体の部分を約0・6-0・7mmリ幅で1度に16枚輪切 り撮影。しかも、体の周りをらせん状に高速回転しながら撮影するため、短時間に膨 大なデータが得られるのが特徴だ。
▽入院不要、外来でこうなると、得られたデータをコンピューターで再構成することで、体を縦横自由 自在に切って断面を見たり、必要な骨や血管だけを取り出して見ることもできるよう になった(血管撮影には造影剤を使う)。しかもこれまでにない高分解能で、細かい 部分が手に取るように分かる。 特に心臓では、心電図と同期させて撮影することにより、拍動する心臓を鮮明なカ ラー立体動画で見ることもできるようになった。 最新鋭のマルチスライスCTを導入、9月後半から実際に患者の診断を開始してい る慈恵医大の福田国彦教授(放射線科医学)は「心臓の細い冠動脈の中まで詳細に見 ることができるので、これまで入院しなければならなかった検査も、外来で簡単にで きるようになりそう。狭窄(きょうさく)や閉そく、動脈瘤(りゅう)などの評価も 短時間で可能になる」と語る。 シーメンスのCTの場合、肺全体で10秒、心臓全体で18秒という撮影時間とな り、息を止める患者の負担が格段に軽減された。
▽安易な使用に懸念心臓以外でも大きな威力を発揮しそうで、特に骨と血管が詳細に分かるので、事故 などによる外傷の場合、このCTを使うことにより、骨折や臓器の損傷がその場で判 定可能になる。 このほか大腸の診断では、画像データを再構成して、まるで大腸の中を内視鏡で見 ていくように大腸内部の粘膜の状態を見ることができる解析ソフトなどもそろってい る。 エックス線CTでは、被ばくの問題があるが、その点は各社とも、エックス線を体 の横から照射するときと、前後から照射するときに、体の厚みに合わせて照射量を調 節するなどして被ばく低減を図っている。 一方、手軽すぎて安易に最新鋭機が使われすぎる恐れも指摘されるほど。福田教授 は「CT検査を適正に行う必要がある。そのためには画像診断医と臨床医の連携が不 可欠」と話している。 |