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抗HIV薬の併用療法 副作用や耐性を考慮 |
HIV(エイズウイルス)感染症の治療は、1年代半ばから始まった抗HIV薬の多剤併用療法によって大きく進歩し、合併症や死亡者の減少に効果を上げた。一方で、副作用や薬に耐性を獲得したウイルスの問題も無視できないのが現状だ。医療現場では、これまでできるだけ早期としていた治療開始のタイミングを再検討するなどの動きが出ている。
▽多剤併用が標準治療 HIV感染症は、人の免疫機能に重要な役割を果たしている白血球中の「CD4陽性リンパ球」などにHIVが感染し、免疫機能が次第に壊される。感染初期はウイルスが急激に増殖し、発熱やだるさなどが出ることがあるが、数週間程度でなくなり、「無症状期」に入る。 しかし、この間もウイルスは増殖を続け、最終的に同リンパ球が減少。免疫不全の状態になり、さまざまな日和見感染を合併しやすくなるエイズ発症期に至ってしまう。 このため、できるだけ早い時期からウイルスの増殖を抑え、同リンパ球を増やすのが治療の目標で、作用の異なる抗HIV薬を組み合わせて処方する強力な多剤併用療法が標準治療として行われる。 「治療開始は早いほどいい、というのが従来の考え方だったが、ここ1、2年は開始をどこまで後ろにずらせるかが議論になっている」と話すのは、感染者や患者の診療に長年携わる岩本愛吉・東大医科学研究所教授。背景には抗HIV薬の副作用や、耐性ウイルスの出現があるという。 ▽17種類が国内で承認 厚生労働省によると現在、国内で承認されている薬は、核酸系逆転写酵素阻害薬と非核酸系逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬の3タイプ17種類。HIVが新しい細胞に入っていくのを防いだり、感染した細胞からウイルスが出てくるのを食い止めるなどの働きがある。 岩本教授によると、副作用は薬によって違うが、①コレステロール、中性脂肪増加などの代謝異常②脂質の分布異常による顔ぼうなどの変化③細胞のミトコンドリア障害による体重減少、肝障害―などさまざま。 「副作用や耐性ウイルスのために二度、三度と種類変更を余儀なくされる人の治療は、現在の薬の数では非常に難しい。それだけに、初回の治療は極めて重要だ」と、岩本教授は抗HIV薬の処方に高度な専門性が必要なことを強調する。 同リンパ球の数が一定以上に達している患者であれば、合併症は簡単には起きないことが分かってきており、こうした人の場合はHIVの量は比較的多くても、治療開始時期を延ばしてよいのでは、というのが現時点での考え方だという。 + font> |