『予防医学 1』

  大切な「健康寿命」 
荻野景規金沢大教授

  世界一の長寿国となった日本。その一方で、急速に進む社会の高齢化は生活習慣病のまん延を招き、医療財政を圧迫、病気の予防がますます重要になっている。日本予防医学会の副理事長を務める荻野景規(おぎの・けいき)金沢大教授(公衆衛生学)に聞いた。

―予防医学の重要性が増していますが

 「今の日本はただの高齢化ではなく少子高齢化。一人一人に健康で、働いてもらうことが一層大切になります。それが最近言われている『健康寿命』。そのため、そもそも病気にしない一次予防と、病気になっても悪化させない二次予防という、健康維持のための医学が必要になるのです」

 ―これまでの医療は診断と治療が中心だった印象があります

 「予防は保険適用外で、医療収入にならなかったためです。でも医学の進歩で病気のメカニズムが詳しく分かってきた現在、発症を初期で抑える予防が、経済的にも医療的にも重要だと認識されだしました。ただ過去にも、高血圧予防のための東北地方での減塩食普及など、大きな成果を挙げた例があります」

 ―予防医学の目的をひと言で言うと?

「それを守れば病気になりにくいというガイドラインを作ること。当然、体質も生活習慣も環境も、人によって違います。それぞれに応じ、病気のリスクを一つでも減らしてあげることです」

 ―具体的には

 「米国では既に、自分の生活習慣などをコンピューターに入れると、どういう危険因子があるかを教えてくれるシステムがあります。日本でも山口大が予防医学センターを作り、県民を対象に、パソコンや携帯電話で自分のデータを入れると、将来のリスクが分かり、発症予防や健康管理を助けるシステムを作ろうとしています」

 


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