注意必要な早朝高血圧
多い脳卒中などの事故
長時間効く降圧薬が効果

 夜間低くなっている血圧は朝方、目覚めるころに急速に高まる。日中の活動開始に備え、血液を体に巡らせて元気を出させる生理的な反応だが、血圧が高めの人にとって、朝は「早朝高血圧」に注意が必要な時間帯でもある。朝に脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの心血管系の合併症がほかの時間帯よりも3倍も多いことが分かっているからだ。。
  ▽1日2回のピーク
 「早朝高血圧の治療は心血管系の合併症を減らすことが一番の目的。高血圧の人にとって、朝が一番危ない。最近は長時間効く降圧薬も出始め、早朝高血圧をコントロールできるようになってきた」と関西医大の高橋伯夫教授(循環器・臨床検査医学)は指摘する。
 早朝高血圧は、家庭で血圧が測れるようになって初めて明らかになってきた。起床直後に非常に高い血圧になるのが特徴で、朝だけ高くなる人もいるという。
 「血圧は1日2回のピークがある。起床時前後と夕方は6-8時が高い。食後のだんらん後に下がってくる」と同教授。
 「朝の血圧の上がり方は、普通の人で本来20ぐらい。高血圧の人では、最高血圧が160から180にもなる。200を超える人もいる」
 高血圧の人は普段から慣れているので、早朝高血圧の場合でも自覚症状はないのが普通という。
   ▽作用が重なって
 朝の血圧上昇は、2つの作用が重なって起こることが分かってきた。
 1つは、体内時計に従って目が覚めるころ、脳下垂体から副腎皮質ホルモン(コルチゾール)を分泌するよう指令が出る。ストレスホルモンとも呼ばれる、このコルチゾールが分泌されると、血管を収縮させて血圧を上げ、体を動きやすいようにする。生体防御の役割の一つでもある。
 もう一つは、目が覚めると、交感神経が働き始め、これによってノルアドレナリンが分泌され、やはり血圧を上昇させ、心拍数を増加させる、という作用だ。
 一方、自分が高血圧であることを認識していない人は結構多い。欧州のデータだが、自分が高血圧であることを知っている人は6-7割にすぎず、3割以上は認識していない。また、認識している人でも治療を受けているのは約半数という。
 「高血圧の人は、血圧を140-90以下にしっかりと下げる必要があるが、治療を受けている人でもコントロールが良好な人は約4分の1にとどまっている」(同教授)
 ▽血が固まりやすく
 血管の壁は本来弾力性があるが、高血圧状態が続くと血管はいつも張りつめた状態におかれ、次第に厚く硬くなり、動脈硬化が進む。
 「動脈硬化のある人では、血管を守っている血管内皮細胞の働きに障害が出ており、血管に傷がある状態になっている。このため、傷を治す役割の血小板が活性化されている」(同教授)
 早朝高血圧で脈拍が速くなると、さらに血管内部が傷つきやすくなる。
 同時に交感神経の働きで放出されたノルアドレナリンが血小板をさらに活性化させるので、血管の中で血液が非常に固まりやすくなる。早朝に脳卒中や心筋梗塞が多いのはこういう理由だ。
 昔はどうしても血圧が下がらない人もいたが、現在は降圧薬の進歩で、確実に目的の血圧まで下げられるようになった。
 高橋教授は「早朝高血圧を治すのに昼間だけ血圧を下げすぎても困るので、家庭血圧値を見ながらの調節が必要。48時間という長い間作用する降圧薬は、24時間ごとに投与すると朝の血圧も下がる。朝だけ上がる人は、夜寝る前に降圧薬を服用すると効果がある」と話している。

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