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難しいコントロール |
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院内感染による入院患者の死亡が各地で続いている。その背景には、抗菌薬(抗生物質を含む)が効かない耐性菌が増え、コントロールがますます困難になっているという状況がある。 「耐性菌はわれわれの体内に内在しているので、制御するのは新型肺炎(SARS)ウイルスと比べても極めて難しい。既に病院内だけでなく、町の中での感染も増加している。交通手段の発達などにより、どこでアウトブレーク(大発生)が起きてもおかしくない」と東北大大学院の賀来(かく)満夫教授(感染制御・検査診断学)は指摘する。 ▽代表格はMRSA ![]() 耐性菌といえば代表格はMRSA。正確には「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」だ。免疫力が低下した入院患者らにとっては脅威だが、今や全国各地で高頻度に検出されているという。 「主な大きな病院の入院患者と外来の患者を調べると、日本では平均して65%の人がMRSAを持っている。世界でも最悪のナンバーワン。多くの人が、MRSAを体の中に持っており、常在菌化している」(同教授) 肺炎を起こす菌として知られる「肺炎球菌」はペニシリンがよく効く菌だったが、これも耐性化が進んだ。「耳鼻科領域では、子供の中耳炎を起こす菌で、現在、3歳以下の中耳炎では91%が耐性菌のためペニシリンが効かないというデータが出ている」(同教授) 緑膿(りょくのう)菌もどこにでもいる菌だが、5%前後が多剤耐性菌になっている。このほかにも有力な抗菌薬が効かない耐性菌がじわじわと増えつつある。 世界保健機関(WHO)は2001年に「先進国では抗菌薬の無意味な処方の増加、途上国では低用量の処方、そのいずれもが耐性菌の増加に関係している」との警告を出している。 ▽堂々巡りを断ち切れるか 感染症で病気になれば、抗菌薬を使わざるを得ない。堂々巡りのどこで輪を断ち切れるか、そこが難しい。 米国は五年前、国家戦略として耐性菌対策をスタートさせている。日本では経費削減で病院の検査部の外注化が進むなど、院内の監視態勢の弱体化も指摘される。 「日本はあまりに危機意識が欠けている。まず不可欠なのが監視と予防。耐性菌には地域ぐるみの対応が必要でネットワークの構築や啓発・教育が重要」と賀来教授。 「抗菌薬の有効使用には血中濃度などの体内動態が大事なことが分かってきた。1つの薬を使い続けず、数種の薬を時間をおいて使い分けるサイクル療法など、耐性菌を減少させる方法も分かってきた」と話している。 |