社会復帰が容易な腹膜透析
新しい透析液も登場
 腎不全で人工透析を受けている患者は今年になって22万人に達した。現在、透析 患者の約95%が血液透析、残る5%弱の約1万人が腹膜透析を受けている。週何回 か病院に通わなければならない血液透析に比べ、自宅でできて社会復帰が可能な腹膜 透析だが、あまり知られておらず、普及度はまだ低い。最近、腹膜機能を傷めない新たな透析液も登場した。
▽自宅などで1回30分ほど
 現在、一般に人工透析といえば血液透析を指す。患者は週3回、専門の病院などで 体の外に引き出した血液から老廃物を取り除く。1回約4時間かかる。
 慈恵医大腎臓・高血圧内科の中山昌明講師は「多くの人が利用できるシステムとし て、かなり完成されてきている。しかし、平日は夕方まで働かなくてはならない壮年 期の患者など、システムに乗り切れない人たちもいる」と指摘する。
 その点、自宅や勤務先で1回30分ほどで透析ができるのが腹膜透析だ。
 胃や腸などの内臓を覆っている腹膜は腎臓の代わりになる「ろ過作用」を持ってい る。腹部にあらかじめ細いカテーテルを埋め込んでおき、2リットルの透析液を腹膜 内に入れ、通常1日4回入れ替えて老廃物を除去する。
 「大げさな機械がいらず、机に座りながら自分で透析液のバッグ交換ができる。そ の人に合わせて夜だけとか、午後だけとかも可能で融通が利く」と同講師。  体に対する影響が少なく、合併症を持っている人や体力のない人にも向いているの が長所という。
▽生活の質を高く保てる
 腹膜透析を始めて6年という東京都内の食品会社勤務Aさん(44)は「サラリー マンとして仕事を優先したかったので、自分でやる方法を選択した」と話す。
 Aさんは起床後まず透析液を交換、食事をして出勤し、昼休みに別室で2回目。帰 宅して3回目、寝る前に4回目の交換という毎日。
 水泳が趣味で、毎週末には奥さんとエアロビクスの教室に通う。「遊びたいのが選 んだ理由の一つ。結果的によかった」とAさん。
 腹膜透析の短所の一つは、個人によって異なるが5-6年で腹膜機能が落ちる点 だ。そうなると血液透析に移行することになるが、最近はテルモなど4社から、腹膜 機能の劣化を防ぐ中性の新透析液が発売され、Aさんも昨年から利用している。これ までの透析液は酸性だった。
 Aさんは「できれば、これで10年、20年もってくれればいいと思う。何と言っ ても腹膜透析は生活の質を高く保てる。多くの人に知ってもらいたい」と話してい る。
 

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