待望の新薬、慎重に登場
リウマチ治療に期待
早い効き目が特徴

 この夏、関節リウマチの患者に待望の新薬が登場した。インフリキシマブ(商品名「レミケード」)という新タイプの抗リウマチ薬だ。リウマチが起こるメカニズムそのものを阻害すると同時に強い抗炎症作用もあり、効き目も早い。しかし感染症に注意が必要なため、まず施設を限定し、専門医が5000例に投与して慎重に副作用の有無を調べることになった。
  ▽生物学的製剤
 リウマチの真の原因はまだ分かっていないが、白血球の1つであるリンパ球が異常に活性化し、自分の体を攻撃する自己免疫病ということが分かってきた。
 このリンパ球は抗体とともに、主に関節の滑膜を攻撃するため、炎症が起こり、腫れや痛み、さらに組織の破壊へと進む。現在、治療は炎症を抑える抗炎症薬と、リンパ球の活性化を抑える抗リウマチ薬の2本立てが一般的だ。
 新薬は、同じ抗リウマチ薬だが、初めて免疫学的手法を利用し、体内でリンパ球が活性化されるメカニズムを逆手にとって免疫異常を改善する。このため、「生物学的製剤」とか「抗サイトカイン薬」と呼ばれる。
 治療は、体重1キロ当たり3ミリグラムを8週間の間隔で点滴して投与する。
 北海道大医学部の小池隆夫教授(内科第2講座)は「原因そのものを抑え込むわけではないので、あまり効かないかと思っていたが、ものすごくよく効く」と指摘する。
 ▽投与翌日から
 専門の施設として、既に10例の患者にインフリキシマブ投与を始めている産業医大(北九州市)の田中良哉教授(第1内科)も「この薬の使用を待ちわびていた。これまで使っていた抗リウマチ薬のメトトレキサート(MTX)は、投与から8―10週間しないと効かなかったが、新薬は痛みを和らげる抗炎症作用も非常に強く、投与翌日から7―8割の人がよくなった」と話す。
 早い効き目について、「朝、目が覚めて気分がいい」「気分が違う」という患者が多く、「痛みが少ない」「体が軽くなった」、歩行に使っていたつえがいらなくなったという人もいるという。
 これまで使われてきたMTXは、最もよく効く抗リウマチ薬として知られるが、実際に効果があるのは半数程度に過ぎず、「うまく使っても2年後には半分以上が骨・関節破壊まで進行してしまう」(田中教授)。
 ▽結核に注意
 このため、新薬はMTXが効かなかった人を対象に、MTXと併用して投与し“半数の壁”を打ち破ることが大きな目標。日常生活の改善と、将来の骨・関節破壊の阻止が期待されている。
 欧米における多国間の大規模研究では、2年間で骨・関節破壊をかなり抑える結果が出ている。
 注意がいるのは、免疫を抑えることによる副作用。欧米の市販後調査では、結核感染が報告されている。
 「切れ味が鋭い薬だが、結核に気を付ける必要があるので、専門医による市販後調査実施を決めた。来年秋には結果が出そう。日本人のデータを出して、リウマチ治療に貢献していきたい」と発売元の田辺製薬
 もう1つの“欠点”は値段が高いという点だ。体重50キロの人で1回23万円。健康保険の3割負担で8万円弱として、年50万円ほどかかってしまう計算になる。
 しかし、患者にとって待望の薬であることは間違いない。小池教授は「実際に使ってみて、早期の関節破壊の人がよくなる(元に戻る)というのは予想外だった。相当進行してしまっていると使いづらいが、これからリウマチにかかる人は相当よくなるだろう。期待は大きい」と話している。

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