自己注射の使用が可能に
アナフィラキシーショック

 ハチ刺されや食物などが原因で激しいアレルギー反応が起き、治療が遅れると死亡することもある「アナフィラキシーショック」。治療にはまず、血圧上昇などの効果がある「エピネフリン」の投与が必要だが、その自己注射薬が日本でも使えるようになった。
 当面はハチ刺されに限定されたが、大きい救命効果が期待されている。
 この注射薬は、エピネフリン0・3mgの自己注射セット。直径1・7cm、長さ14・5cmの筒状で、安全キャップを外し、太ももに直角に突き立てると、中から針が出て注射される仕組み。米国では20年以上前から使われている。
 ハチ刺されのアレルギーは、一度刺されて体内に抗体ができた人が、再び刺された時に急激な反応をするものだ。
 ▽1・4%にショック症状
 1980年から19年間で1500人以上のハチ刺され患者を診察した長野県青木村の小川原辰雄青木診療所長によると、ハチ刺されでショックになった人は全体の1・4%いた。治療は、エピネフリン投与とステロイド、輸液などで全身の循環状態を改善し、アレルギー反応を抑制する。
 林野庁によると、職員の死亡事故があったため、95年から治験としてこのセットを職員に携行させ、8年間で15例の使用例(1人は死亡)があったという。
 小川原所長は「日本ではハチ刺されで年間約40人が死亡しているが、事前にショックを起こす可能性のある人に処方、自己注射ができるようになると、死亡者は半減するのではないか。ただ自己注射後も、早く病院へ行ってアレルギー反応を抑える治療を受けることが必要だ」と話す。
 ▽できるだけ早く投与
 食物では、厚生労働省は昨年4月からアレルギーの原因食品として、卵、牛乳、小麦、ソバ、ピーナツを原料とする加工食品に表示を義務付けていたが、ショックになった場合には、エピネフリンをできるだけ早く投与する必要がある。
 食物アレルギーへの対策に取り組む千葉友幸・千葉クリニック院長(東京都江戸川区)は「卵などが原因のアレルギーは、子供で5-6人に1人はいる。大きな症状を起こすと危険なので、自己注射薬を持っておくことが必要だが、今回、食物に関して承認が見送られたのは残念」と話す。
 厚労省は、患者に十分な指導ができる医師だけが処方するなどの条件を付けている。
      

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