降圧薬が糖尿病に関係
大規模試験で鮮明に

 血圧を下げる降圧薬と糖尿病の間に一定の関係があることが、高血圧患者1万5千人以上を対象に行われた大規模臨床試験で鮮明になってきた。
 この臨床試験は、世界の31カ国約940施設が参加して実施された「VALUE」。
 働き方が異なる2種類の降圧薬の効果を比べるために行われたもので、カルシウム拮抗(きっこう)薬のアムロジピンとアンジオテンシンⅡ受容体阻害薬(ARB)のバルサルタンを投与する2群に分け、4年以上かけて調べた。
  ▽ARBが抵抗性改善
 この調査で注目されたのは、新規に糖尿病を発症したケースで有意な差が出てきた点だ。
 カルシウム拮抗薬の群は発症率が16・4%だったのに対し、ARB群は13・1%で、統計的な計算をしたところ、ARBで血圧を下げた群の方が23%も糖尿病を発症するリスクが低いことが分かったという。
 糖尿病が専門の片山茂裕(かたやま・しげひろ)・埼玉医大教授(第4内科)によると、糖尿病の発症の仕組みに関連があるらしい。糖尿病はインスリンが分泌されなくなったり、インスリンが分泌されていても、それに対する抵抗性ができて起こる。実際には、このインスリン抵抗性ができて糖尿病を発症するケースの方が圧倒的に多い。
 「同じ高血圧の治療薬でも、降圧の仕組みは違う。ARBは、血管を収縮させる働きがある物質『アンジオテンシンⅡ』の受容体に作用して血圧を下げる仕組みで、この物質を阻害すると、インスリンの抵抗性が改善される。それが発症の低下に結び付いているのではないか」と同教授は推測する。
 
▽合併で心臓病3倍
 降圧薬と糖尿病の関係が注目されだしたのは1985年ごろから。これまでの研究で、高血圧の治療に使われる利尿薬やベータ遮断薬では、糖尿病の発症を増加させる作用がある一方、カルシウム拮抗薬やアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬などでは糖尿病の発症を減少させるなどの報告が出ている。VALUE試験では、アンジオテンシンと糖尿病の関係が一層鮮明に浮かび上がる結果になった。
 「糖尿病と高血圧が重なると、心筋梗塞(こうそく)など、心臓病の発症が3倍以上も高まるとの報告もある。高血圧の治療でも、糖尿病にならないように降圧薬を選ぶことが大切」と片山教授は話している。

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