下肢静脈瘤を日帰り手術
麻酔法の工夫で可能に
欧米ではレーザー治療も

 脚の血管がボコボコと浮き出て見えたり、脚がむくんだりする下肢静脈瘤(りゅう)。命にかかわることはないため、仕方がないとあきらめる人が多いが、日帰り手術などいろいろな治療法が開発されており、専門医は「あきらめずに早めに血管外科を受診してほしい」と話している。
 
 ▽弁が壊れ血が逆流
 下肢静脈瘤は女性や立ち仕事が多い職業の人に多い。30歳ごろからでき始めることが多く、子育てや仕事が忙しくて放置していると40-50代になって症状が進む。
 東京医科歯科大病院血管外科の広川雅之医師によると、脚の静脈には逆流を防ぐ弁がいくつもあり、これが壊れると皮下の表在静脈に逆流が起こり静脈瘤ができる。ひどくなると色素が沈着して脚が黒くなったり、皮膚がただれて、かいようができる人もいる。
 主な治療法は症状に応じて①生活習慣の改善などの保存的治療②薬剤を注入して血管をふさぐ硬化療法 ③静脈瘤ができた血管を抜き取るストリッピング手術-の3種類。
 このうち保存的治療は脚を圧迫して血液の逆流を防ぐ弾性ストッキングを使うが、脱げば効果がなくなり、静脈瘤が治るわけでもない。
 硬化療法は、静脈瘤ができた血管に薬剤を注入して血管を固める。短時間で治療できるが、大きい静脈瘤にはあまり効果がなく、3年程度で再発することが多い。

 ▽日帰り手術
 これに対し、ストリッピング手術は、弁が壊れた静脈を抜き取るため再発の恐れが少ない。血管を抜き取っても血液は筋肉の中を通る深部静脈に迂回(うかい)するので支障はない。治療効果は大きく、現在国内で主流の手術法となっている。
 だが、通常の方法では全身麻酔や腰椎(ようつい)麻酔をかける必要があり、1週間-10日の入院が必要。静脈の枝を処理するために何カ所も切開しなければならない。
 こうした中、広川医師が実施しているのが日帰りでのストリッピング手術だ。「30-40分の手術が終われば、そのまま自分で歩いて帰ることができる」と広川医師。大量低濃度局所浸潤麻酔(TLA)という麻酔法が日帰り手術を可能にした。
 TLA法はもともと美容外科の脂肪吸引に使われていた麻酔法。通常の麻酔に比べて濃度は10分の1、量は約10倍の麻酔液を静脈の周囲に注入する。
 従来、これほど薄い麻酔液では痛みを抑えられないと考えられていたが実際には十分な痛み止めの効果が得られる。また、大量の麻酔液を注入することにより、抜き取る静脈が周囲の組織から剥離(はくり)しやすくなるので、血管を抜き取る際の痛みが少なくなるなどの利点もある。

 ▽レーザー治療
 一方、欧米では既にストリッピングではなく、血管の内側にレーザーを照射して血管をふさぐレーザー治療が主流になっているという。
 国内では保険診療に認められていないため、実施施設は東京医科歯科大などごくわずかしかないが「レーザー治療はストリッピングよりずっと簡単で、傷跡もほとんど残らない」と広川医師。
 現在のダイオードレーザーでは治療後に皮下出血が起きたり、突っ張り感が出ることもあったが、最新のパルスヤグレーザーを使えばこれらの問題点がほとんど起きないことも分かってきた。
 広川医師は「今は研究的な治療という形をとるしかないが、近い将来、日本でもレーザー治療が主流になるだろう」とみている。


ヘッドラインへ戻る

記事、写真、グラフィックスの無断転載を禁じます。
2004 Kyodo News (c) Established 1945 All Rights Reserved