地域で電子カルテを共有
異なるタイプも接続可能

 「地域内のカルテは患者1人に1枚」―電子カルテを地域の病院や検査機関が共有し、患者自身も必要に応じて閲覧ができる。こんな新しい医療情報システムが稼働している。熊本市周辺で2001年末に始まった「ドルフィンプロジェクト」だ。
▽1万人以上が登録
 当初は経済産業省の研究事業だったが、現在も継続して運用されている同プロジェクト。今年7月末時点で参加しているのは、診療所13施設のほか、熊本大病院、済生会熊本病院など大規模病院3施設と、検査センターや画像診断センター3施設。情報が登録されている患者は約1万人に上る。
 運営の中心である熊本大病院の吉原博幸教授(京都大教授と併任)は「さまざまなタイプの電子カルテを使えるよう、データ互換のためのコンピューター言語規格を統一したのが特徴だ」と話す。参加している診療所は、プロジェクトが独自開発した同一の電子カルテを使っているが、この言語規格さえ満たせば、どんなタイプの電子カルテでも使用できるという。
 従来の電子カルテは、同じメーカーのものであっても病院ごとに仕様が違う場合が多く、異なる病院間での共有は困難。「多数の施設から成る都市部などでは、単一のシステムでは現実性がない」と、同教授。
 ▽質や効率の向上に期待
 共有化といっても、カルテを見ることができるのは、基本的には本人か診療関係にある病院のスタッフだけで、閲覧の権利は制限されている。患者自身は、あらかじめ登録しておけば自宅のコンピューターでも自分の情報にアクセス可能だ。
 一方、カルテのコピーはデータセンターに蓄積されるため、診療所のデータが何らかの理由で失われても修復が可能。改ざん防止などの効果も期待できるという。
 熊本と同種のシステムは宮崎県で既に稼働しているほか、東京都医師会などでも導入が検討されている。
 吉原教授は「紹介状や手紙を元にした従来の医療連携に比べ、情報量が格段に増えるため質や効率の向上が期待できる。患者も自分が受けた医療の内容を理解しやすくなったり、第3者に意見を求めやすくなったりするメリットがある」と話す。今後は薬局の参加や、ネットワークを活用した遠隔画像診断も検討したいという。
      

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