PDT治療、既に800人
急増中の加齢黄斑変性

 「肝心の見たい所が見えない」―。最近、高齢者で急増している「加齢黄斑(おうはん)変性」。黄斑は網膜の中心部にあって、ここがやられると周りは見えても中心部が見えない。黄斑部の下に血管が新生したり、黄斑部が委縮してしまうのが加齢黄斑変性だ。
 これまで、なかなか効果的な治療法がなかったが、5月にレーザーを利用した光線力学療法(PDT)が日本でも解禁された。既に約800人が治療を受けているという。
  ▽失明の80~90%占める滲出型
 大阪大大学院感覚器外科(眼科学)の田野保雄教授は「PDTも決定的治療法ではないが、今まで手をこまねいてきた疾患に、やっと光明が差してきた感じ」と話す。
 加齢黄斑変性は、欧米では成人の失明原因の第1位。日本でも食事の欧米化と社会の高齢化で急激に増えてきた。「まだ日本のデータはないが、30年前にはなかったものが、今は毎日のように患者がやってくる」(同教授)
 加齢黄斑変性は委縮型と滲出(しんしゅつ)型に大別される。失明の80―90%を占めるのが滲出型で、黄斑部の下に新生血管ができることで、急激に視力が下がったり、中心部に暗点やゆがみができたり、コントラストが低下する。欧米でこのタイプは少ないが、逆に日本では大半を占める。
 片目に症状が出始めても、老化現象として見過ごされやすく、早期発見が難しい。片方が滲出型の新生血管ができると、42%の人で5年以内にもう一方の目でも新生血管が発生するという。
 この滲出型に有効なのがPDT。治療は、まず光感受性色素ベルテポルフィン(商品名ビスダイン)を静脈に注射する。
 
▽新生血管がつぶれる仕組み
 「安全な治療法で、すぐに効果は表れるが、再発が多いため、3カ月ごとにチェックし、必要なら治療を繰り返すことになる」(同教授)
 ただこの治療は、黄斑変性がきれいに治って視力が元に戻るというものではない。
 田野教授は「視力の低下を防いだり、コントラストが下がりにくくなることが欧米のデータで分かっている。日本人やアジア人では、白人よりよく効き、視力の回復や少なくとも維持ができるようだ」と話している。
 8月末で全国約50カ所の医療施設がPDTを実施しているという。

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