原因物質減らした部屋開発
注意の目安判定のテストも
シックハウス対策で千葉大
   新居などの建材や、家具から揮発する化学物質が原因で体の不調に悩まされるシックハウス症候群。国は一部物質の規制など対策を進めているが「予防に勝る治療はない。原因物質を極力減らすのが重要」と、森千里・千葉大教授(環境生命医学)らは空気中の化学物質濃度が低い部屋や、生活上の注意が必要かの目安にできるテストを開発した。
 
▽さまざまな症状
 シックハウス症候群は、新築住宅やリフォームした部屋、新しい家具を置いた部屋などで、のどの痛みや鼻水、頭痛、めまい、発熱、だるさなどの症状が出る疾患。
 建材や家具、電化製品などから揮発する物質(VOC)が原因とされ、空気中の濃度や、患者が部屋から出ると症状が治まるかなどで診断する。ただ、発症の仕組みなど未解明のことも多い。
 シックハウスを防ぐため、政府は室内の総VOC濃度の目安として、1立方メートル当たり(以下同)400マイクロ(マイクロは100万分の1)グラム以下という指針値を定めているほか、2003年に建築基準法を改正し、建材から出るホルムアルデヒドの室内空気濃度を同100マイクログラム未満に規制。殺虫効果のあるクロルピリホスの使用も原則として禁止した。
 対策は一定の効果を上げたが「シックハウスと診断される患者は今も報告されており、問題は解決していない」と同大の戸高恵美子・助教。ここ数年も小学校や大学の校舎で発症が相次いで建物が立ち入り禁止になったり、家具から出るにおいや化学物質に関する相談が国民生活センターに多数寄せられたりしている。
 
▽感受性に個人差
 こうした背景として、化学物質は種類が非常に多いため、想定していなかった物質が原因となっている可能性や、アルコールに弱い人と強い人がいるように、化学物質にも敏感な人とそうでない人がいることなどが考えられている。
 森教授が、約30人の健康なボランティアの協力で実験したところ、総VOC濃度が410-500マイクログラムの場合、34%に頭痛や目のかゆみなどシックハウス特有の症状が出たのに対し、210―250マイクログラムでは15%に。総VOC濃度が低いほど症状が出る人は減った。
 「不特定多数の人が長時間滞在、出入りする場所では、可能な限り総VOC濃度を下げるべきだ」と森教授。
 
▽ケミレス教室
 森教授は総VOC濃度を250マイクログラムに減らす必要があると考え、07年から建材メーカーと協力して、千葉大構内の講義室を改装する形でVOCの少ない「ケミレス教室」づくりを開始。防音材、壁紙、床材、家具などを選ぶことで、総VOC濃度を年間通じ250マイクログラム以下に保てることを確認した。産学協同の「ケミレスタウン」構想の一環で、敷地内には化学物質の使用を減らしたモデルハウスも並ぶ。
 さらに、簡単な質問に答えてもらい、化学物質に注意した生活が必要かの目安としてもらう自己判断テストも開発。インターネット上で公開を始めた。このテストで化学物質に注意する必要性が高いと判定された人が、総VOC濃度410―500マイクログラムの部屋に滞在すると、6割以上に何らかの症状が出たという。
 森教授は、室内の空気を良好に保つための建材の選び方や部屋の作り方を、さまざまな人が利用する学校や公共施設の建設に役立ててもらいたい考えだ。
 自己判断テストはここでできる。(共同通信 池内孝夫) (2009/06/09)

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