ヒブワクチンが足りない
発売半年、予約待ち
定期接種求める声の中
   乳幼児の細菌性髄膜炎の原因となるインフルエンザ菌b型(Hib)を予防するヒブワクチンが、世界から10年以上遅れ昨年12月に国内で販売が始まってから半年。専門家から「海外では接種が当たり前のワクチン。日本も早く定期接種にすべきだ」との指摘が出る中、供給は不足し、全国の医療機関で接種の予約待ちが続いている。
 
▽1年待ち
 「都内の小児科に電話したら(接種まで)1年待ちと言われた」「かかりつけの小児科は予約受け付けを停止してしまった。ヒブワクチンはどこへ行ったのか」
 市民団体「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」には、今年2月以降、乳幼児の保護者からの問い合わせや不満の声が次々と寄せられている。
 細菌性髄膜炎は乳幼児が感染しやすく、死亡や脳性まひなどの後遺症の恐れがある。「今もワクチンの存在を知らない髄膜炎患者がいると思う」と話すのは、同会代表の田中美紀さん。
長男(5)が生後五カ月で肺炎球菌が原因の髄膜炎に。命は助かったが水頭症やてんかんなど重い後遺症を負った。
 数年後、新聞で初めてワクチンの存在を知り「接種していれば予防できたのか」とがくぜんとした。「供給量を安定させるためにも、国は早くヒブワクチン定期接種化の見通しを示してほしい」と訴える。
 
▽供給制限
 ヒブワクチンはなぜ足りないのか。  国内で販売されているのは第一三共(東京都中央区)の「アクトヒブ」のみ。ほかの製薬会社から販売申請の動きは出ていない。
 第一三共の広報担当者は「ワクチンの認知度が上がり、需要が供給を上回った。発売前から供給不足の恐れはあったが、一刻も早くという思いで発売に踏み切った」と説明する。2月以降、同社はアクトヒブの供給を病院は10人分、診療所は3人分に制限。その上で現在は余った在庫を申し込み順に供給している。製造元のサノフィパスツール社(フランス)は、1年後に現在の倍の量を出荷することを目標に生産ラインを調整している。
 日本小児科学会の予防接種担当理事を務める防衛医大の野々山恵章教授は「日本には長期的視野に立ってワクチン行政を考える専門組織がないことが問題。アクトヒブは国際的にも認められている非常に安全なワクチン。早く計画的な供給体制をとるべきだ」と話す。
 
▽「過去の病気」
 ヒブワクチンは1990年代に入り欧米を中心に導入された。世界保健機関(WHO)も98年、定期接種を推奨する声明を発表し、現在では世界130カ国以上で定期接種化されている。ワクチンの効果は高く、導入国では細菌性髄膜炎はもはや「過去の病気」だ。
 一方、国内では年間約600人がHibによる髄膜炎を発症し、うち約5%が死亡していると推測されている。ヒブワクチンの接種を受けられたとしても、現在は任意接種のため保護者は計4回の接種で約3万円の負担を強いられる。公費での補助を始めたのは、宮崎市や鹿児島市など一部の自治体だけだ。
 定期接種化の見通しについて厚生労働省結核感染症課は、来年度以降になるとしている。担当者は「この1年間、国内でヒブワクチンを接種した子どものデータを集め安全性や費用対効果などを分析する必要がある」と話している。
 「守る会」への連絡は事務局にメールで。アドレスはoffice@zuimakuen.net
 Hibは、季節性インフルエンザや新型インフルエンザの原因ウイルスとは異なる。(共同通信 安藤涼子) (2009/06/02)

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