問われる医療倫理の意識
質担保のシステム不可欠

   “医療支援”を掲げるビジネスが台頭する背景にはどんな事情があるのか。意義や問題点について、東京医科歯科大大学院の川淵孝一教授(医療経済学)に聞いた。

 ―医療経営のコンサルタントが脚光を浴びる理由は何か。
 「資金面の問題から病院や診療所の経営が厳しくなっていることが一番の要因だ。赤字の解消が難しい状況に、医師不足が 追い打ちをかけ『医療崩壊』が深刻化。実際に破綻(はたん)に追い込まれる病院も出始めた。経営面に疎い医療関係者は多く、“お助けマン”として専門家の力を求める人が多い」

 ―コンサルタントを使うメリットは。
 「開業を志す医師や、病院や診療所の院長にとっては、資金調達や税務対策などの面で不安も多い。親身になって相談に乗ってくれる存在が安心につながるのだろう」

 ―問題点は。
 「経営面を重視しすぎて、結局、お金の話に終始してしまいがちなことだ。経営の質を上げることは大事だが、医療の質を保つことはもっと重要。医療の質を上げながら、いかに経営の効率化を図るか。医療人の言葉や気持ちが分かるようなコンサルタントでないとトラブルも起こる」

 ―悪質な事例もあると聞くが。
 「現状では、名刺に肩書を刷り込むことで簡単にコンサルタントになれる。病院や診療所の乗っ取りを画策するケースもあるようだ。また、開業の際に知り合いの医療機器リース業者を連れてくるなどして、診療所を食い物にするような事例もあるという。問われているのは、医療に関する倫理観をきちんと持ち合わせた人材かという点だ」

 ―コンサルタントの質を担保するような資格制度が必要か。
 「例えば、米国ではヘルスケアに特化した経営学修士(MBA)を取得するための大学もあり、経営知識の習得だけでなく、医療現場でのマネジメント 研修や倫理教育を義務付けたりしている。国が資格制度をつくるのか、民間に任せるのかは議論があるだろうが、野放しにしないためのシステムづくりは欠かせない」 (2009/05/12)

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