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心臓移植を受けるまでのつなぎとしてだけではなく、体に埋め込んだまま日常生活への復帰を目指すことも可能な新しいタイプの補助人工心臓を、東京女子医大などが開発、国の製造承認の取得を目指し本格的な臨床試験を進めている。
▽日常生活可能に
同大心臓血管外科の山崎健二講師らが早稲田大、サンメディカル技術研究所(長野県諏訪市)などと約15年かけて共同開発し「エバハート」と名付けた。
2005年5月から東京女子医大と国立循環器病センターで、薬物治療では回復しない末期重症心不全の患者計3人に試験を実施。エバハートを埋め込んだ患者は強心剤の投与が不要になり、退院して小旅行に出かけることが可能になるなど生活の質も大きく改善した。
今年6月からは大阪大、埼玉医大を加えた4施設で、計16人の患者を対象に本格的な臨床試験を開始。「良好な成績を積み重ね、できるだけ早く承認を得たい」(山崎講師)としている。
▽左心室を補助
同講師は「国内では心臓移植の提供者が非常に限られており、ほとんどの患者は移植を受けることができない。エバハートは実質的には移植の代わりになる可能性がある」と期待する。
補助人工心臓による治療の対象となるのは、拡張型心筋症など移植でしか助からない重症心不全の患者で、国内で年間2千―3千人、米国では同5万―10万人とされる。
心臓移植では、病気になった心臓を摘出し提供者の心臓に入れ替える。一方、補助人工心臓を使う場合は、心臓を残したままポンプを心臓の下側に埋め込む。収縮力の弱くなった左心室から血液を取り出し、ポンプで上行大動脈に送り出す。弱った左心室の働きを機械で補助しようという方法だ。
重症心不全の患者を対象に補助人工心臓と薬物治療の成績を比較した米国での臨床試験では、薬物治療のグループの生存率は1年後25%、2年後8%しかなかった。これに対して補助人工心臓のグループは、1年後52%、2年後でも23%が生存と大幅に改善し、補助人工心臓治療が食品医薬品局(FDA)に承認されるきっかけとなった
▽小型、軽量、単純
だが、実際の心臓と同じ拍動流を生み出すタイプのポンプを使ったこの臨床試験では、埋め込み後2年を超えると装置の故障や感染症、脳血管障害などの合併症を起こして大半が死亡してしまうという問題点も明らかになった。
エバハートはこのような問題を克服するため、一定のスピードで羽根車を回転させる遠心ポンプを採用。大きさ、重さを従来の拍動型ポンプの2分の1から3分の1に抑え、大幅な小型軽量化を実現した。また、人工弁が不要なため構造が単純で血栓症や感染症のリスクが少ない。ポンプ寿命も長いという。
ポンプは体外のバッテリーに接続。バッテリーは携帯でき、1回の充電で8―10時間の活動が可能だ。
これまでの試験経過を受け「感染症や装置故障など合併症のリスクを、従来の装置よりも非常に少なくできると考えている」と山崎講師。高品質、低価格にするため、患者の多い米国でも臨床試験を申請する予定だ。
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