目の紫外線対策、怠りなく
太陽高い日本は不十分
「まぶしさ」が関係
   日差しがきつくなると気になるのが紫外線対策。肌と同様、目でも白内障予防などのため怠らないことの重要性が認識されるようになってきた。だが、日本のように太陽が高く上る地域では、対策は不十分になりがちだと専門家は指摘する。これに関係するのが「まぶしさ」だという。
 
▽急性と慢性
 太陽から地表に届く紫外線のうち、人体への影響が問題になるのは長波長のA波や中波長のB波。目には見えないが、直射だけでなく散乱や反射で浴びることも多い。目にはB波の方がより有害だ。
 強い紫外線を短時間に浴びた場合は充血や角膜炎、雪眼炎(いわゆる雪目)など急性の障害が出る。長年の蓄積では水晶体が濁る白内障のほか、白目が黒目に三角形状にかぶさり、進行すると乱視や視力低下につながる「翼状片」など、慢性の病気の原因となる。
 「白内障や翼状片は発症までに長い年月を要する。加齢も影響するため紫外線の関与を実感しにくく、どれくらい浴びると発症するのかも不明なため、対策の必要性を感じる人は少ない」と、金沢医大の佐々木洋教授(眼科学)。
 
▽反射や散乱で
 この背景を探ることなどを目的に、佐々木教授らは昨年夏、緯度や環境が異なる沖縄県南城市(北緯26度)、金沢市(同36度)、アイスランド・レイキャビク市(同64度)の3地域で調査を実施。
 目の部分などに紫外線センサーを埋め込んだ頭部のマネキンを屋外に設置して目に入るA、B両波の量を測定。太陽高度との関係も調べた。
 北半球では高緯度の地域ほど太陽は低い位置にしか上らない。このため、1日の中で最も高い位置に来たときの南中高度が34度(8月末)しかなかったレイキャビクでは、光が直接目に入る時間が長い。太陽を正面にした場合に目が浴びる紫外線の1日の積算量(推定)は、日本の2地域よりもレイキャビクの方が多かった。
 一方、南中高度が82度(7月末)と非常に高い南城市では、時間帯によっては太陽を背にしていても、正面にある時と同レベルの紫外線を浴びていた。「天空の紫外線量が多く、反射や散乱によってあらゆる方向から目に入る」(佐々木教授)という。
 
▽低い有症率
 金沢医大による過去の調査などによると、50以上で翼状片が見られる人の割合は、沖縄県に近い鹿児島県・奄美地方で約27%、石川県で約7%なのに対し、レイキャビクでは0・2%と極端に低い。
 太陽を正面にした場合に浴びる紫外線量が決して少なくないレイキャビクで、有症率がこれだけ低いのはなぜか。佐々木教授は理由の一つとして「レイキャビクではサングラスや、より広い範囲を覆うゴーグルをした人を街中で見かける。紫外線対策がしっかり行われている」と指摘する。
 通常、人の視野に入るのは40―45度上まで。太陽がこれより上にあればまぶしさを自覚しにくい。レイキャビクではほぼ1年中、太陽がまぶしさを感じる低い位置にあるため、市民は必然的に対策を取るという。
 「まぶしさを基準に紫外線対策を考えていると、思った以上に紫外線を浴び、若い人でも20年後、30年後に目の病気になる恐れがある」と佐々木教授。顔面の形に合ったサングラスや眼鏡、つばの広い帽子のほか、紫外線カット機能のあるコンタクトレンズを併用するなどして予防に努めてほしい、としている。(共同通信 江頭建彦) (2009/04/28)

トップページへ戻る

記事、写真、グラフィックスの無断転載を禁じます。
2009 Kyodo News (c) Established 1945 All Rights Reserved