「正常」でも要注意
メタボも危険要因に
高血圧治療指針を改定
 日本高血圧学会はこのほど、高血圧治療の指針(ガイドライン)を改定し、2009年版を発表した。「正常」の範囲内でも、血圧が比較的高値であれば危険性があると指摘したほか、メタボリック症候群を危険要因に組み入れた。家庭で目標とするべき血圧値も新たに設定した。
 
▽若い時期から
 高血圧は脳卒中や心筋梗塞など心血管の病気の危険性を高めることが知られている。
 新指針は診察室で測定する血圧について、高血圧(最高140以上または最低90以上)には至らないが、比較的高値を示す「正常高値血圧」(130―139または85―89)も危険性のある血圧分類に組み込み、メタボリック症候群も血圧以外の危険要因に含めた。
 指針作成委員の松岡博昭独協医大教授は「国内外の観察研究や疫学研究で、どちらも心血管病につながる危険性が高いことが明らかになった」と説明。島田和幸自治医大教授も「病気が芽のうちに、特に若い時期からしっかり治療してほしいというメッセージを込めた」と話す。
 新分類によれば、正常高値でも、血圧以外の危険要因を持っていなければ問題ないが、メタボリック症候群の状態なら中等度、糖尿病や慢性腎臓病があれば高いリスクがあることになり、生活習慣の改善や降圧薬での治療が必要になる。
 
▽日常的に
 日常的な血圧測定の重要性も増している。診察室で測る値よりも、より本来の健康状態を反映するとの研究報告が相次いだためだ。家庭で1日1回から数回測る「家庭血圧」の測定値では、04年の指針と同様、135以上または85以上を高血圧とした。
 「35歳になったら、家庭に体温計と同じように血圧計を常備し、自分の血圧を把握するべきだ」と島田教授。
 測定技術も進歩した。カフ・オシロメトリック法という精度の高い自動血圧計が開発され、「24時間自由行動下血圧測定(ABPM)」を行うことで、文字通り24時間の血圧情報入手が可能になった。
 主に治療中の患者向けで、測定用バンドを上腕に巻き、15―30分間隔の測定ができる。新指針はABPMでは睡眠時で120以上または70以上を、24時間平均で130以上または80以上を高血圧と、低めの値に定めた。この値は、高血圧による臓器障害の程度の把握や、心血管病の発症の予測が診察室血圧よりも正確にできるという。
 
▽2剤併用
 患者の降圧目標は、診察室血圧の若者・中年者で130未満かつ85未満、高齢者(65歳以上)で140未満かつ90未満など04年の指針と同様だが、家庭血圧での目標値はそれぞれ5ずつ低い値にした。
 高血圧の治療は生活習慣の改善から始まる。しかし、07年に米国でまとめられた調査では、45歳以降での禁煙など、健康によい習慣を始められた人は8・4%に過ぎない。そこで注目されるのが薬剤治療だ。
 新指針は、1種類の薬で十分な降圧ができない場合に、少量の利尿薬の併用を強く勧めている。多量に用いると糖尿病発症の恐れもあるが、ほかの高血圧薬に1錠の4分の1から半分だけ併用すれば、お互いの長所を伸ばし、副作用などの欠点を補うとしている。
 患者は薬の効き目が十分でない場合、数を増やすことには抵抗があるとの調査もある。指針作成委員長の荻原俊男大阪大名誉教授は「利尿剤を少量混ぜた合剤を使えば、錠数を増やさなくて済む」と指摘している。(共同通信 浅見英一) (2009/03/24)

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