もっと自律的に活動したい
高齢社会で看護にやり甲斐
1万人超で臨床研究
 看護教育の高度化や専門化を背景に、看護師にも初期診療や薬の処方を担ってもらおうという動きが広がっている。目指すのは米国などにある「ナースプラクティショナー(NP)」だ。訳せば「診療看護師」か。看護師の業務拡大は、深刻な医師不足対策にもつながると期待されている。
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 「看護が好きなんです。患者さんの一番近くで人となりとか、生活環境をつぶさにみられる。それを生かしてもう少し広い範囲で自律的に活動できれば、患者さんにとっても絶対いい」―。
 大分市郊外の丘陵にある大分県立看護科学大。その大学院修士課程の「ナースプラクティショナー(NP)コース」(夜間で2年間)で学ぶ看護師村井恒之さん(36)の目は輝いていた。
 NPというのは米国などにある国家資格だ。大学院などでさらに学んだ看護師で、一定の範囲内ではあるが、医師との連携を図りつつ自らの判断で患者の診療や薬の処方ができる。
 日本にはまだない資格だが、同大は先取りして昨年から養成を始めた。村井さんは「資格ができることにこしたことはないんですが、なくても、ここで勉強している内容は、日々の看護の中でいつも必要だと感じていたことですから」と話す。
 
▽責任の重さ痛感
 看護師は回り道の末、ようやくやりがいを見つけた職業だった。目的のないまま入った大学は二年で中退。アルバイトに明け暮れているとき、看護師をしている姉の姿に大きな影響を受けた。
 「もう一生懸命なんです。それだけ真剣になれる看護って何だろうと」。24歳で高等看護学院に入り直した。
 いまは別府市内の民間病院で透析室を担当。透析患者は水分調節が厳しいため便秘になる人が多い。下剤も患者の状態にあわせて変えていく必要があるが、医師は忙しいのでなかなか細かい対応はできにくいという。
 実際は患者の日ごろの排便習慣を把握している看護師が下剤を選ぶ場面も多い。「だけど最終的には先生に一つ一つ確認を取らなければならない。自分たちが力を付ければ、そこは対応できるのではないか」
 入学して丸一年、学べば学ぶほど責任の重さを感じる毎日という。「自分の判断一つで患者さんの命にもかかわる。それだけの知識を本当に吸収しているのかということはいつも考えます」。
 
▽生活者の視点で
 同大が設けたNP養成コースは全国で初めてだ。現在は村井さんと県内のベテラン女性看護師の三人が学ぶ。四月からは新たに5人が入学、遠く関東圏からもやってくる。
 草間朋子学長(67)は「慢性疾患が増えた高齢社会では、病気を治すというよりも患者の生活の質を高めるケアが重要。一定の教育を受けた看護師がそれを担えば、医師の負担も軽くできる」と強調した。
 開学に伴って学長を引き受けた11年前、ずっと研究職でやってきたこともあって1カ月間だが、看護師として現場を経験した。先進的といわれた病院だったが、看護師の社会的な地位は昔のまま。「医師とのチーム医療が叫ばれる時代なのに、これでは医療現場はよくならない」。
 より幅広い知識を身に付けた看護師がプライドを持って働けるようにするにはどうしたらいいか。学長に就任した後も模索が続き、たどり着いたのがNPだった。
 「看護教育と業務がこれだけ高度化・専門化しているのに、いつまでも医師の診療の補助では…。医師の確保が困難な地域の医療や保健を支えるためにも、初期診療もできる新たな看護の職種を考える時期がきている」(共同通信 高瀬高明) (2009/03/10)

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