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薬剤溶出ステントの留置後 1万人超で臨床研究 |
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狭心症や心筋梗塞の治療のため、心臓の冠動脈の内側に入れる「薬剤溶出ステント」と呼ばれる医療器具は、留置後に血栓症の恐れを高めることが指摘され、影響を検証する臨床研究が各国で行われている。日本でも1万人以上を3年間にわたり追跡した結果がこのほどまとまり、血栓症の頻度は欧州に比べ低率であることが分かった。 ▽海外で報告
冠動脈が狭くなって起きる心筋梗塞などの治療では、患部を別の血管に取り換えるバイパス手術や、太ももの付け根などの動脈から細い管(カテーテル)を入れて行う血管内治療がある。血管内治療はカテーテルを患部までもっていき、特殊な風船で狭くなった部分を押し広げ心臓の血流を正常化させる。しかし、40―50%で再狭窄が起きてしまうため、筒型で網状をした金属製のステントを固定する治療も行われるようになった。ステントの普及で再狭窄率は20―30%に低下した。 さらに効果を高めようと開発されたのが薬剤溶出タイプ。細胞の増殖を抑える免疫抑制剤や抗がん剤をステントの表面に塗ったもので、再狭窄率は10%程度になった。 しかし2006年以降、留置後1カ月以上で起きる「遅発性ステント血栓症」が問題に。「薬剤溶出型では、従来型に比べ死亡や心筋梗塞の頻度が増えるなどと報告され、米国では薬剤溶出型の使用率が一時、急速に下がった」と話すのは、ステント治療を多く手掛ける木村剛・京都大准教授(循環器内科)。 ▽3年後に1・2%
こうした背景から国内で行われたのが、シロリムスという免疫抑制剤を塗った薬剤溶出ステントの安全性と有効性を調べる大規模研究。37医療機関の患者約1万2800人を追跡した。木村さんによると血栓症の発症率は留置の9日後に0・3%、1カ月後に0・4%に。その後も0・6%(1年後)、0・8%(2年後)、1・2%(3年後)と上昇した。 一方、欧州で行われた別の大規模研究の結果によると、同じシロリムス溶出ステントでの発症率は、1カ月後で1・1%、1年後で1・3%、3年後で2・5%。別の薬剤溶出ステントでは発症率はそれぞれ1・3%、2・0%、3・2%とさらに高い。 「日本では血栓症の頻度は比較的低く、欧州に比べ問題は小さいということが分かった」と木村さん。理由として人種差のほか、ステント治療で血栓予防のため併用する抗血小板療法が、日本では早期から適切に行われているのではないかと指摘する。 ▽長期間追跡を
抗血小板療法では現在、アスピリンと、血小板の凝集を阻害するチエノピリジン系薬剤が使われている。ただ、この療法にも出血の副作用の恐れがあり、ステント留置後いつまで薬の投与を続けるかの見解は定まっていない。今回の日本の研究ではこれに関連するデータも収集され、抗血小板療法の重要性があらためて確認されたが「長期間、二剤を飲む必要は必ずしもないのではないか。患者ごとのリスクを考慮しながら検討していくことが大事だ」と木村さん。 ステント血栓症の詳しい原因はまだ解明されていない。木村さんは「海外より頻度は低いものの、三年たっても血栓症の発症は継続している。今後も長期的な追跡を継続する必要がある」と話している。(共同通信 江頭建彦) (2009/03/03) +font> |