途上国妊婦への援助維持を
WHOのイスラム部長
 発展途上国が抱える大きな健康問題の一つが、妊産婦や新生児の高い死亡率だ。医療体制充実のため、世界的な景気後退の中でも国際社会が援助を継続する必要性について、世界保健機関(WHO)母子・新生児保健対策部長のクオジ・イスラム氏に聞いた。

 「世界で毎年1億8千万―2億1千万人が妊娠するが、うち約2千万人の妊産婦が何らかの病気に苦しみ、約60万人が死亡する。多くはネパールやバングラデシュなどの途上国で起こっており、不衛生な環境や、周産期のケアが受けられないことなどが原因だ。また約3百万人が出生後1週間以内に死亡し、約3百万の胎児が死産となっている。適切なケアがあればほとんどが救えたはずだ」

 ―求められることは。
 「医師や助産師の数を増やす一方で、十分な医薬品を供給することだ」
 「途上国では医療サービスが都市部に集中している。貧困層にとってはケアの費用だけでも大きな負担だが、地方など遠隔地からだと移動にも多額の出費を強いられるため、受診をためらう要因になっている。都市部の一部富裕層との格差は深刻で、格差を縮小するような資金援助が必要だ」

 ―どのような方法が考えられるか。
 「うまくいった資金援助の方法として、インド・グジャラート州政府の施策がある。ボランティアを使い、貧困層の妊産婦に医療機関で出産するよう説得し、交通費や医療費を補助したところ、2005年には約70万だった医療機関での出産数が、07年には10倍の約7百万に増えた」

 ―日本に期待することは。
 「昨年開催された北海道洞爺湖サミットで、福田康夫前首相が妊産婦保健を議題にし、問題解決に力を入れてくれたことに感謝している。世界的な景気後退に見舞われているが、協力の維持をお願いしたい」

 ―日本国内では雇用不安も広がり、海外への資金援助には難色を示す声も出ると予想されるが。
 「途上国の人々の健康は経済活動に良い影響を与え、ひいては輸出産業が中心の日本経済の好転にも貢献する。私たちは別々に生活しているのではなく、一緒に生きているのだと強調したい」 (2009/02/24)

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