「理想の実現、ここで」 人材不足の中に希望も |
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「食事はおいしく食べられていますか?」。往診で高齢の患者に尋ねる遠藤光洋医師(37)は、医師になって4年。研修医時代に「あおぞら診療所」と出合い、在宅医療に魅せられた一人だ。 関西の大学を卒業後、大手新聞社に入社。記者生活を1年送ったが、医師の夢をあきらめきれずに退社し、翌年春に東京医科歯科大へ入学した。 2005年3月に医師免許を取得し、研修医として各診療科を回る卒後臨床研修では内科や外科などを体験したが「何科に行っても、自分の肌に合うところが見つからなかった」。
医師になったのは、人の生死や人生観に触れたいとの思いから。研修が終わりに近づく中、進路を決めかねていた06年秋に地域医療の研修先として割り当てられたのが、医科歯科大の先輩医師3人が千葉県松戸市に開設したあおぞら診療所だった。1カ月間の研修中、遠藤医師は先輩らの往診に同行し、在宅医療を肌で感じた。 「病院内では、患者さんの死生観や家族関係は断片的にしか分からない。往診で自宅を訪れれば家族との会話を垣間見たり、経済的な状況も分かる。自分の理想を実現できる場所はここなのかもしれない」。「生き生きしてるね」と妻にも背中を押され、診療所への就職を決めた。 社会の高齢化に伴い、ニーズが高まる在宅医療。診療所は遠藤医師のような研修医のほか、関心を持つ医師、医学生や看護学生ら年間百人以上の研修や見学を受け入れている。だが、大人の在宅医療を手掛ける医師に比べ、小児の在宅医は著しく不足している。 「小児科医全体の人手が少ない中では、在宅に興味を持つ小児科医がいても外来や救急で忙しく余裕がない。だが、小児科医の数が増えるのを待つだけでは問題の解決にならない」。こう話すのは、小児在宅医療の普及を目指す聖隷三方原病院(浜松市)の天野功二医師。 「英国のように地域のかかりつけ医が大人も子どもも診て、困った時に専門の小児科医に連絡できる仕組みが理想的だ」と指摘する。 昨年4月、在宅医療に興味を持った国立成育医療センター(東京都)の若手小児科医が、あおぞら診療所へ転職した。診療所の前田浩利医師は「現状は厳しいが、数年後に小児の在宅医療をやりたいと言ってくれる医師も複数いて、希望も感じている」。 (2009/02/17) +FONT> |