在宅で「おばあちゃん」に 介護者の長年の負担軽減 |
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新年を迎えた千葉県松戸市の住宅街の一角。「ピピピ、ピピ…」。呼吸がうまくできず、人工呼吸器が低圧になったことを知らせる機械音が鳴る。エプロン姿の阿部いつ子さん(59)は台所仕事の手を止め、リビング隣のベッドで長男真也さん(32)のたんの吸引を手際良く行った。 難産の末、仮死状態で生まれ3カ月で脳性まひと診断された真也さん。以後も肺炎などで何度も生死の境をさまよい、入退院を繰り返した。 家族の生活は真也さんの介護中心に。5つ離れた妹の真弓さん(27)の子育ても思うようにいかなくなった。「親子遠足の時は友達の保護者にお願いした。遊びにも連れて行ってあげられなかった」と、いつ子さん。
真也さんの体重は重くなり、病院への移動では介護者の身体的負担も大きくなった。いつ子さんも夫の昭夫さん(61)も年を重ねるにつれ「病院の簡易ベッドで毎晩寝るのは辛かった」。在宅でやってくれる先生がいるらしいと、いつ子さんが知人から「あおぞら診療所」のことを聞いたのは約5年前。真也さんの主治医と診療所の前田浩利医師(46)の連携はスムーズで、間もなく往診が始まった。 小児期の病気を抱えながら成人になった真也さんのような患者を誰が診るのか、医療界での合意はない。「ずっと診てきた小児科で」というのが前田医師の考えだ。 人工呼吸器の管理や気管切開のチューブ交換をする月に2回の定期往診のほか、急な発熱の際などには臨時に点滴などの処置をする。症状がひどいと入院することもあるが、入院先の医師との連絡は密に行う。 「真也君、お正月は調子崩さず良かったですね」。前田医師は診察を終えると、世間話をしながら介護者や家族の状況を把握する。真也さんはリハビリ医療施設に三泊四日の短期入所をすることに。「お母さん、あんまり頑張りすぎないで。まずはいっぱい寝てね」と気遣った。 「不安もあったけれど、病院と家とで、やっていることは変わらない。在宅中心になってから、表情も柔らかくなったし発作も不思議なほど少ない」と、いつ子さん。 真弓さんは昨年、双子を出産し真也さんは“おじさん”になった。「この子たちが『おじちゃんがいたよね』と覚えられるまで真也には頑張って生きてほしい。在宅ならこうやって“おばあちゃん”もできますしね」と、いつ子さんは孫を抱き上げた。 (2009/02/03) +FONT> |