早期治療に「遺産効果」
糖尿病の大規模臨床試験で
 2型糖尿病患者の血糖値をインスリンなどで早期から管理する「強化療法」で、約30年後に心筋梗塞や死亡を減らす効果が確認されたとする大規模臨床試験の結果が、このほど発表された。専門家は「診断後の早い段階から、積極的治療で血糖値を改善することによる『遺産効果』が示された」としている。
 2型糖尿病は、脂質などが多い食事や運動不足といった生活習慣と、遺伝的素因とが絡み高血糖になる病気。放置すると網膜症や腎症など細小血管の障害による合併症のほか、やや太い血管にも影響が及び、心筋梗塞や脳梗塞などの危険性も高まるとされる。
 その一つが英国の「UKPDS」。1978年から約5000人を対象に実施され、血糖値の指標となるグリコヘモグロビン(HbA1c)値が強化療法で8%から7%に低下すると、従来の治療に比べ網膜症は17―21%、腎症も24―33%、それぞれ減少した。しかし心筋梗塞では有意な差が見られなかった。
 別の臨床試験でも同様の結果が出たり、強化療法を受けた患者の死亡率が従来の治療法の群より高くなったりしたため、議論になっていた。
 今回発表されたのは、試験が終了した97年以降の継続観察の結果。98年には強化療法を受けた群と従来の治療の群とでHbA1cの値に差はなくなっていた。一方、当初は両群の間で差がなかった心筋梗塞の発症率と総死亡率は、約10年後には強化療法群の方が従来療法群よりも心筋梗塞で15%、総死亡で13%、それぞれ減少していた。
 天理よろづ相談所病院(奈良県)の石井均・内分泌内科部長は遺産効果について「早期からの血糖値管理の利益は、従来の報告以上に長く続くということだろう。日本の治療指針ではHbA1cの目標値は6・5%未満だが、現状は平均7・5%。ここからどう下げるかが今後の課題だ」と話す。
 米国では昨年末、関係学会が共同で「ほとんどの患者は従来通りの治療方針でよいが、重度の低血糖症など一部の患者には厳格な管理は適さない」との内容の声明を出した。 (2009/02/03)

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