睡眠時無呼吸、小児でも
成績や成長に悪影響
早期の診断・治療を
 過度の眠気などで社会生活や仕事に支障をきたす睡眠時無呼吸症候群。小児は成人に比べ問題視されることは少ないが、成績低下や、成長に悪影響を及ぼす場合もあり早期診断と治療が重要だ。
 
▽閉塞性が大半
 睡眠中に呼吸が止まったり、酸素を十分に取り込めなくなったりする同症候群の定義は、成人の場合、10秒以上の無呼吸が一晩に30回以上か、1時間平均5回以上起きることだ。
 小児は呼吸数や呼吸で出入りする空気の量が年齢などで異なるため、基準を設けるのは難しいとされるが、この病気に詳しい工藤典代・千葉県立衛生短大教授は「10秒にならなくても、2呼吸分が停止すれば無呼吸と考えるのが妥当ではないか」と話す。
 原因は、鼻から喉頭までの上気道が狭くなって起きる「閉塞性」と、脳から呼吸の指令が出なくなる「中枢性」とに大別され、小児は閉塞性がほとんど。特に小学校低学年までは、のどちんこの裏側にある咽頭扁桃の肥大(アデノイド)や、いわゆる扁桃腺の肥大が大半という。
 10歳ごろからは、これにアレルギー性鼻炎による鼻閉が加わるほか、気道が狭くなりやすい肥満も原因になる。「どちらも小児で増加しているとされ、今後、無呼吸症候群の患者も増えるのではないか」と、工藤さん。
 
▽いびきに要注意
 症状の中心はいびき。疲れている時や風邪をひいた時の一時的なものは問題ないが、毎晩のように続いたり、肩で息をしたりする場合は要注意。
 睡眠中にあごを上げて横向きになり、口を開けて一生懸命呼吸する独特の体位も多く見られるほか、突然のせき込みや夜尿、寝汗も特徴という。
 小児で睡眠の質が低下すると、成人ほど日中の眠気が強くならない半面、いらいらや乱暴な行動、集中力の減退につながり、長期に及ぶと精神や脳の成長に悪影響を及ぼす恐れがある。
 工藤さんによると、小学1年で成績が下位10%の約300人を調べたところ、うち18%に睡眠呼吸障害が見られたとの報告が米国である。日本でも小5、小6の担任と親への調査で、いびきは落ち着きのなさや学習意欲の低下と関連があった。
 睡眠中の成長ホルモンの分泌も低下し、重症者では身長や体重の伸びが悪化するといわれる。
 
▽摘出で健康に
 千葉県立こども病院で長年、治療に携わった工藤さんは「保護者や学校関係者は、子どものいびきや鼻詰まり、学校での様子にもっと敏感になり、気になれば受診してほしい」と強調する。
 診断は内視鏡やエックス線で上気道の閉塞を調べたり、専用機器で睡眠中の呼吸や心拍をモニターしたりする。ビデオカメラで睡眠中の子どもの顔や胸部を記録してもらい、苦しい呼吸の時に胸の中央部がへこむ「陥没呼吸」などを確認するのも非常に役立つという。
 アデノイドや口蓋扁桃の肥大が原因の場合、治療はこれらを切除・摘出するのが最も有効。全身麻酔が必要だが乳児でも手術は可能で「ほとんどは見違えるほど健康になる」(工藤さん)。アレルギー性鼻炎も薬やレーザー、粘膜切除手術で治療でき、睡眠時無呼吸の症状は大きく改善する。
 「適切な治療で、子どもは自分の持つ力を発揮できるようになる。『成長してアデノイドや扁桃腺が小さくなるのを待つ』ではなく、診断がついた時に積極的に治療することが大事だ」と工藤さん。
 責任者を務める日本学校保健会の調査研究委員会は、学校関係者や保護者向けの資料を作成。インターネットでも公開して啓発を進める。(共同通信 江頭建彦) (2009/01/27)

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