往診、1日20件も 新生児医療、進歩の中で |
クリスマスの装飾が街を彩る昨年12月下旬。「あおぞら診療所」と書かれた軽自動車が千葉県松戸市内のマンション前に止まった。降り立ったサンタ姿の小児科医、前田浩利医師(46)とトナカイ姿の看護師が、脳性まひの松本拓万君(10)の往診のため、階段を足早に上った。
「たっくん、サンタさん来たよ!」。母親の佳子さん(43)が呼び掛けると、前田医師は「びっくりして発作起こさないでね」と、ベッドの拓万君に顔を近づけ笑う。同診療所では医師と看護師、運転手から成る5チームで、1日に50―60件の在宅医療を行う。このうち小児は、多い日で約20件を占める。 毎年恒例の“サンタ往診”は患者や家族に大人気。前田医師はカルテを開き「(拓万君の)栄養状態は良いですよ」。 拓万君は1998年11月、1960グラムの低体重、仮死状態で生まれ、市内の基幹病院に搬送された。NICU(新生児集中治療室)で過ごした約50日間を含め、入院は約1年に及んだが「特に大きな手術もなく、呼吸管理がメーンだった」と佳子さんは振り返る。 新生児医療の進歩で、生後4週未満の新生児死亡率は77年の6・1人(1000人当たり)から、2007年には1・3人(同)となった。同時に、増加した低出生体重児に重い障害が残ったり、人工呼吸器をつけて長期入院したりするケースも多くなった。 この結果、NICUの満床、不足が問題となり、妊婦の「たらい回し」や、他病院からの新生児救急搬送を断るケースが相次ぐ要因とも指摘されるようになった。 厚生労働省研究班の医療機関に対する調査では、NICUに1年以上入院する子どもの約3割は在宅療養が可能とみられ、「在宅」は満床問題からも注目されている。 佳子さんがあおぞら診療所を知ったのは3年半前。拓万君は退院後も体調が不安定で、「発熱や発作のたびに通院するのは大変だから」と、主治医に紹介された。 「技術が進む一方で、呼吸器などに依存して生活する子どもを支える医療システムが今の日本にはない」と、前田医師。緊急時は医師や看護師が駆け付け自宅で点滴などの処置をする。介護の負担が大きい母親が息抜きできるよう、訪問介護やヘルパーも紹介する。 「患者はもちろん、家族にも配慮してくれる。本当に助かる」(佳子さん)と、信頼は厚い。 × × × あおぞら診療所の日常を通し、小児の在宅医療の現状と課題を追った。 (2009/01/20) +FONT> |