感染症のドキュメント制作
全8編、無料で放映
 発展途上国の貧困層を中心にした感染症などの健康問題をテーマにしたドキュメンタリー「感染症克服への道―Survival(サバイバル)」(全八編)が、昨秋から日本を含む各国で放映された。
 制作者側は、昨年の北海道洞爺湖サミットでも取り上げられたこの問題への国際的関心と理解を高めようと、著作権を放棄。インターネットなどで無料で見ることができるようになった。医療関係者や途上国支援に取り組むNGOなどは、問題解決への足掛かりになると期待している。
 番組は、川や沼などの淡水で寄生虫に感染して起きる住血吸虫症や、蚊が媒介するリンパ系フィラリア症、眼病のトラコーマなどの研究・対策に取り組むインペリアル・カレッジ・ロンドンの教授の主導で、英ドキュメンタリー制作会社がつくりBBCから流された。
 エイズやマラリアなどに比べこうした感染症への注目度は世界的に低く「顧みられない熱帯病(NTD)」と呼ばれている。教授らはかつて、BBCのドキュメンタリーで住血吸虫症を取り上げ、これをきっかけに支援が増えたことから、今回は扱う疾患や地域を拡大しシリーズ化した。
 テーマはNTDのほか、ハエが媒介する睡眠病、妊産婦の健康、栄養失調・寄生虫、子どもの生存などで各編約45分。地域に根ざした解決策も提案している。
 例えば、NTDではアフリカのニジェールでの薬剤集団配布プログラムを取り上げた。NTDの治療には抗生物質などの適切な投与が効果的だが、医療態勢が不備なため、薬を対象者に配り歩く人が村落単位で必要。番組は約1万7千人にこの役目が任せられ、5年間で五つの病気の制圧を目指し活動する姿などを追った。
 エイズウイルス(HIV)の重複感染や、既存の治療薬がほとんど効かない「超多剤耐性」が深刻な問題となっている南アフリカの結核を扱った番組では、患者急増で始まった自宅での訪問治療を取材。空気の清浄度など環境がいいことや、患者の精神的負担が軽くなったことなどで事態が好転するケースもあることを紹介した。
 カットなしの全編は英語だが、うち七編は日本語の短縮版も見ることができる。 (2009/01/20)

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