ADHDを疑似体験
周囲の適切な理解を支援
 発達障害のひとつである注意欠陥・多動性障害(ADHD)の子どもの症状を疑似体験できる装置を、製薬会社ヤンセンファーマ(東京)が開発した。当事者の置かれた状況を理解することが周囲の対応の成否を分けるといい、利用を呼びかけている。
 装置の監修者の1人、京都大病院精神科神経科の岡田俊医師によると、ADHDの子どもは(1)落ち着きがなく、いつも身体のどこかを動かしている「多動性」や、待つことが苦手で思わず行動してしまう「衝動性」(2)十分な時間と適切な配分で注意を振り向けたり、順序立てて行動したりが苦手な「不注意」―が、7歳以前から家庭と学校など2つ以上の場面でみられる。
 多動性・衝動性と不注意は、個人によって両方現れる場合と、どちらかが強く現れる場合とがあるという。国内の調査では、ADHDと診断されるのは児童・生徒の7・7%。多動性や衝動性は11―13歳で目立たなくなることもあるが、診断された人の30―50%は成人になっても診断基準を満たす。
 「関心は高まりつつあるが、発達障害と認識されず、なまけているとか、しつけの問題だと誤解されてしまうことも多い。診断されているのは全体の15%ほど。専門医も決定的に不足している」と岡田さん。ADHDを抱える子が世界をどうとらえているのかを、当事者の視点で体験、理解する道具はこれまでなかったといい、今回の開発につながったという。
 装置はパソコンとゴーグル型のディスプレー、ヘッドホンで構成。3次元の映像と、自然界に近い音声による約6分のプログラムを、小学3年の男児となって体験する。ゴーグルには特殊なセンサーが内蔵され、体験者の頭の動きに応じ視界が変わる。
 例えば、学校で黒板に集中しようとしても、周辺の物や聞こえる音に気が散って集中できなかったり、踏切の向こうにいる友達に気を取られ、電車を待てずに遮断機をくぐったり。周囲の理解と適切な対応・治療で子どもは能力を最大限、発揮できることも解説する。
 岡田さんは「子どもが困っていることを、まず周囲の大人が理解することが大事。物事に集中しやすい環境を整えたり、ほめ上手になったりすることなどの重要性を分かってほしい」と話している。
 装置は全国に25台のため、利用は当面、医療関係者が主な対象。問い合わせはヤンセンファーママーケティング本部、FAX03(4411)5005 (2009/01/06)

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