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胃かいようなど、胃酸が原因で起きる上部消化器疾患について、国内の専門医グループが行った臨床研究の結果、日本人の場合、胃酸の過剰分泌を防ぐ薬、H2ブロッカーが幅広い効果をみせることが分かった。
これまで多かった胃や十二指腸の消化性かいようは、H2ブロッカーの登場に加え、ヘリコバクター・ピロリ菌が発見され、その除菌が広がったことで激減した。
▽ピロリ菌に感染すると
「ストレスも原因とされてきたが、ストレスで発症するのはピロリ菌に感染した人だけということが、阪神大震災時の調査で分かった」と島根大医学部の木下芳一(きのした・よしかず)教授。
ピロリ菌には免疫機能が未熟な幼少時に感染するが、若い世代の感染率は年々低下。さらに、除菌後の再感染率は1%程度。木下教授は「今後問題になるのは、アスピリンなどの消炎鎮痛剤の服用で起きるかいようと、胃酸が食道に進入するため起きる逆流性食道炎になる」と指摘する。
高齢になると、消炎鎮痛剤の服用は増えるし、食道下部の筋力が落ちて逆流が起きやすくなる。事実、島根大では内視鏡による消化性かいようの発見率が減少する一方、逆流性食道炎は逆に増え、肩を並べたという。
欧米では、薬剤性かいようの予防や逆流性食道炎治療は、より強力なプロトンポンプ阻害剤(PPI)が必要とされる。
しかし日本人の胃酸分泌や消炎鎮痛剤の使用量は欧米人に比べ少なく、ピロリ感染率は高いなど、状況が異なるため、全国17大学の専門医が3年間かけて調査した。
▽胃下垂にも効果
日本医大は消炎鎮痛剤を長期服用中のリウマチ患者26人をH2ブロッカーのファモチジン(商品名ガスター)服用とPPI服用の二群に分け、半年後に内視鏡検査をしたが、かいようの予防率に差はなかった。
大阪市立大は内視鏡で逆流性食道炎と診断された98人を同様の二群に分けて調査。全例ではPPIの方が治療効果が高かったが、ピロリ菌感染の有無に分けて比べると、ピロリ菌陽性患者では効果に差はなかった。
これらの結果から、薬剤性かいようの予防や、軽症でピロリ菌陽性の逆流性食道炎治療には、日本人ではH2ブロッカーでも有効と分かった。
かつては胃下垂などと呼ばれた機能性胃腸症などでの効果も判明。調査を率いた寺野彰(てらの・あきら)独協医大学長は「さらに多くの症例を調べ、日本人の特性に合った治療法を確立したい」としている。
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