『高齢者の肺炎 3』

 薬や生活習慣で予防を 
大類孝・東北大助教授

 

―誤嚥(ごえん)性肺炎の予防策にはどのようなものがありますか。

 「薬がいくつかあります。まず抗血小板薬のシロスタゾール。血小板の働きを抑えて大脳基底核での脳梗塞(こうそく)の再発を抑え、誤嚥の危険性を下げるのが狙いです。次が高血圧治療薬のACE阻害剤。私たちの研究で、嚥下(えんげ)機能が働くには知覚神経から放出されるサブスタンスPという物質が重要な働きを担うことが分かっています。この薬はこの物質を分解してしまう酵素の働きを妨げます」

 ―ほかには?

「アマンタジン、カプサイシン、葉酸ですね。アマンタジンはA型インフルエンザの治療薬ですが、パーキンソン病の治療薬でもあり、大脳基底核が働くのに必要なドーパミンを放出させます。カプサイシンはサブスタンスPの放出を促し、ビタミンの一種の葉酸は、欠乏するとドーパミンが作られにくくなります」

 ―カプサイシンはあの辛い?

 「そうです。赤唐辛子の辛味成分です。感覚が鋭くなって、のみ込みが良くなります。誤嚥を繰り返す人は、お年寄りといっても少し辛めの食事も重要。今、うちでカプサイシンのトローチを開発中で、間もなく完成します。食事の20分ぐらい前になめてもらえば効果的です」

 ―薬のほかには?

「歯磨きと食後の姿勢です。歯磨きは口の中の細菌を減らすとともに、口の中の知覚神経を刺激してのみ込みを良くします。またお年寄りは食道下部の筋肉が緩んでいるため、食べたものが胃から食道に逆流しやすい。高血圧の薬をのんでいるとなおさらです。食後に寝ていると、逆流した食物が気管に吸い込まれる恐れがある。ですから食後1時間以上、できれば2時間は上体を起こしてください」

 


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