新治療法が次々登場
多発性骨髄腫に光
移植療法や新薬

 多発性骨髄腫は、白血病と同様に造血細胞ががん化する病気で、骨が溶ける点に特徴がある。脊椎(せきつい)の圧迫骨折で腰の痛みを訴えることが多い。従来使われてきた抗がん剤は、なかなか治療効果が上がらなかったが、この1-2年で新しい治療法や新薬が次々と登場し、明るい光が見えてきた。。
 
 ▽自家移植
 「多発性骨髄腫は60歳以上が多いが、若い人もいる。エックス線で見ると、骨を打ち抜いたような穴がくっきり映ることが多い。初診の半分以上の人で骨に痛みがある」と京都府立医大血液内科の島崎千尋講師。
 「これまでの標準的な治療法は、MP療法と呼ばれる化学療法だったが、平均生存期間は3年、奏功率(骨髄腫を示すMタンパクが半分以下になること)は50%と、大変厳しい病気だった」と指摘する。
 MP療法に代わる治療法として、登場したのが自家移植療法だ。
 自分の骨髄や、末梢(まっしょう)血の造血幹細胞を体外に取り出し、大量の抗がん剤や放射線の全身照射でがん化した骨髄細胞をたたいた後、戻す。
 「これによって、Mタンパクがすべて消失する『完全寛解』が40%も得られるようになった。平均生存年数も5年に延びた」(同講師)
 従来の化学療法との比較試験の結果、自家移植が優れていることが証明され、今や標準的な治療法になってきた。

 ▽ミニ移植
 問題は自家移植が成功しても90%以上が再発する点だ。そこで、計画的に2回続けて自家移植する「タンデム(馬を縦につなぐという意味)移植」が考案された。
 「フランスで、タンデム移植と1回移植を比較試験した結果、7年生存する人はそれぞれ42%と21%と、明らかにタンデム移植が優れていた」(同講師)
 しかし、自家移植が持つ再発の問題は残り、あらためて再発が少ない同種移植(他人からの提供を受ける移植)の導入が検討された。
 同種移植は、移植に伴う合併症による死亡率が高いという面があり、その点、結果として自家移植の方が生存率が高かった。
 しかし、最近は同種移植でも、ミニ移植と呼ばれ、前処置で骨髄をすべてたたいてしまわない移植が行われるようになり、死亡率が減った。

 ▽サリドマイド
 「まず自家移植でがん細胞を減らしてからミニ移植をやる。理想的な方法として、この1-2年実施されるようになった。高い生存率が得られているが、長期データはこれから」と島崎講師。
 新剤では「サリドマイド」がかなり効く。抗がん剤が効かなくなった人や移植で再発した人などの難治例に単剤で35%に効く(35%の奏功率)。
 ステロイドホルモンとの併用投与では奏功率55%で半分以上に効く。生存期間も延びている。
 しかし、催眠薬として重大な薬害を起こしており、日本では未承認だ。個人輸入で、かなり使われているのは事実で、現在、学会がガイドラインを作成中。
 最近はサリドマイドの誘導体「レビミッド」も出てきた。良く似た構造だが、サリドマイドで見られる副作用がない。
 もう1つ「ベルケード」は新タイプの薬で、細胞増殖に必要なタンパク質の働きを抑制するなどの作用があり、難治例で効果が確認されている。日本でも臨床試験がスタートし、一番早く使える薬になりそうだ。
 島崎講師は「この1-2年、海外で新薬も出始め、治療の選択肢がかなり増えた。6月には骨髄腫治療の診療指針もでき、全国で新しい治療が受けられる態勢になりつつある」と話している。


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