微小な泡注射し超音波検査
高精度、がん発見に有効
被ばくない利点も

 無数の極めて細かい泡(マイクロバブル)を造影剤として用いる超音波検査の有効性が、東京医大など多施設による臨床試験で示された。がんに栄養を供給する微小な血管までも映し出し、がんの診断や小さな病巣の早期発見に生かす。ヨード系の造影剤を使うコンピューター断層撮影(CT)と同じぐらい高精度で、エックス線による被ばくがないのが利点という。


  ▽白く光る
 超音波検査は、臓器の形や病変を即時に見られ無害なことから、肝がんや乳がんなどの診断以外にも健康診断や胎児診断でよく使われる。
しかし、通常は造影剤を使わないため「細部や微小な血管まで見分けられる画像を得るのは難しい。正確な診断をするには限界がある」(森安史典・東京医大教授)。
 そこで注目されたのがマイクロバブル。泡は体の中にあると超音波をよく反射、キラキラと白く光る特質があるからだ。1970年代に造影剤として有用と報告され、欧米を中心に実用化が進んだ。
 一つの泡は直径数マイクロ㍍(1マイクロ㍍は1000分の1㍉)と、赤血球より小さい。泡の膜には脂質やタンパク質を用い、中にフッ化炭素のガスや空気を入れるなど無害な素材で作られている。血中に一定時間とどまった後で溶ける工夫がしてある。
 注射液1㍉㍑中に8億―10億個含まれ、静脈から注射すると血流に乗って全身をめぐり、肺での気体交換などにより30分程度でなくなる。診断できるのは約10分間。
 

▽肝臓で検証

国内では、森安教授と東芝メディカルシステムズ(栃木県大田原市)が共同で、マイクロバブルに対応できる超音波装置の開発、患者への応用を目指してきた。
 東京医大など15病院は98年―2003年に、肝がんや血管腫など、肝臓に病変がある約190人で臨床試験を実施。画像の鮮明度が高い最新のマイクロバブル造影剤の有効性を調べた。
 患者に、体重1㌔当たり0・015㍉㍑を腕の静脈から注射。画像で正しく診断できた割合は、マイクロバブルを使用したときは89%で、使わない場合の68%より向上。通常の造影剤を用いたCT検査と同程度だった。
 また、1㌢以下のがんはマイクロバブルの方が見つかりやすかった。

 

▽0・2㍉の血管も
 「動脈にカテーテルを入れるエックス線造影検査や、造影CT検査でとらえられる血管は、直径0・5㍉から2㍉程度。マイクロバブルなら0・2㍉まで可能で、被ばくもない」と森安教授。
 悪性かどうかの鑑別は、マイクロバブルを注射した後の病変部の白くなり方が鍵になる。
 がんだと病巣に血管がたくさんできているため、20秒ぐらいで白く染まる。良性腫瘍(しゅよう)なら1―3分かけてゆっくり白くなることが多い。また、がんでは不均一にがん細胞が増殖していて、まだらに白くなり、良性腫瘍では均一になる。
 今回、臨床上問題になる副作用はなかったという。一般に血管内に空気が入ると危険だが、東芝メディカルシステムズは「マイクロバブルは微小で、投与量は非常に少なく、全身をめぐった後は体内から消失するため安全。危険な要素は見つかっていないが、新規の技術でもあり、マイクロバブルの生体での挙動は引き続き調査が必要」としている。






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