超音波で子宮筋腫を治療
国内で初の装置導入

 超音波の振動エネルギーを患部に集中させ、細胞を壊死(えし)させる「集束超音波療法」の治療装置が開発され、国内で子宮筋腫の治療が始まった。開腹手術や血管へのカテーテル(管)の挿入が不要で、治療時にエックス線も使用しないことから、体への負担や安全性の面で利点が多いという。
▽細胞を凝固壊死
 人体に照射された超音波のエネルギーは、組織の吸収度の違いに応じて熱に変わる。人の場合、当たった部分の温度が約60度を超えるとタンパク質が変性して凝固する性質がある。
 これを医療に応用したのが集束超音波療法。子宮筋腫の治療は、医誠会病院(大阪市東淀川区)が今年4月から始めた。
 使用するのは1998年以降、欧米などの約10施設に導入されているイスラエル製装置。超音波の照射で発生する熱で、筋腫部分の細胞を凝固、壊死させる仕組みだ。「MRI装置に組み込んで同時に使用するため、照射の範囲や、治療部位の温度がどの程度上昇するかを監視しながら治療できる」と同病院の三上恒治医師。
 超音波を発生する振動子を二百五十六個、エネルギーが一カ所に集まるように配置。通過する皮膚の部分などには影響を与えず、エネルギーが集まる筋腫の部分だけに効果が出るという。
 ▽85%が病状改善
 患者は装置にうつぶせの状態で、おなか側から断続的に照射を受ける。治療時間は直径8センチ程度の筋腫で3時間程度。照射で筋腫がなくなるわけではないが、数カ月から1年の間に徐々に縮小する。海外でのデータでは、治療を受けた約260人の約85%が3―6カ月で症状が改善したという。
 同病院は7月25日時点で17人の患者に治療を実施。筋腫の位置の関係で照射エネルギーを高くせざるを得ず、痛みで治療を中止したケースが2例あったが、そのほかの経過は順調という。
 装置は未承認で、医師の個人輸入の形で使用されるため、医療保険は使えない。直径3センチ以下の小さな筋腫や、子宮の内側に突き出すようにできる「粘膜下筋腫」などは治療の対象外。当面は、治療後に妊娠を希望する人にも行わない。三上医師は「今のところ適応は筋腫全体の2割程度だと思うが、治療の選択肢が広がったことを生かし、患者さんと相談しながら取り組んでいきたい」と話している。



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