第3部「現場からの声-5」
「私はモルモット」
つらい入院体験、心病む

 一連の記事を読んで、つらい体験を思い出したという読者から手紙が届いた。中部地方に住む45歳の女性。
 〈入院した時、医師に反論したことがありました。ものすごい反対にあいました。針のむしろで、自殺しそうにまで追い詰められました。退院後に精神を病みました〉
 丁寧な手書きの文字。一体どんな経緯があったのか。書かれていた電話番号にダイヤルした。
 「人間として扱われず、モルモットだと感じることがありました」
 静かな口調で、女性は1カ月半に及ぶ8年前の入院生活を振り返った。
 耳の帯状疱疹と顔面神経まひの治療のため総合病院に入院。薬の投与を受けるうちに、胸部の激しい痛みや息苦しさが続くようになった。主治医から、心理的な要因によるものだと言われたことを覚えている。
 薬の副作用ではないかと主治医に疑問をぶつけてみた。
 「医師はみるみる機嫌を損ね、『あなたのような症状は精神が安定していないから出るんだ』と強い口調で言いました。その後は症状を訴えても、検査をしてもらえないこともあった」と女性。
 不信感を抱き、別の医療機関で診察を受けようと決意した。
 「退院させてほしいと言ったけど、聞き入れてもらえず、院内でカウンセリングを受けるよう指示されました。医師や看護師が『あの患者は精神がおかしい』と別の患者さんに話しているのを耳にしたこともあります」
 退院したが、人込みが怖くなった。体調が悪くても病院に行くのをためらうようになった。  家族の勧めで別の医療機関の精神科を訪ねた。2004年、統合失調症と診断され再び1カ月半にわたり入院。その後の通院治療中に、以前入院した総合病院への不満を口にした。
 「でも精神科医には最初、『その病院や先生に問題はない。悪く言うのはやめた方がいい』と、たしなめられました。思いを理解してもらえるようになったのは、ようやく昨年あたりからです」
 心の病は、医療の“副作用”か…。  「患者からの批判に、医者は激しく反発するものだと痛感しました。だからこそ今は、疑問や不安に耳を傾け、ちゃんと治療をしてくれる人に会うと感激するんです」
 女性はそう言って、受話器を置いた。

◎この連載に対する感想やご自身の体験を「医療漂流」取材班にお寄せください。ファクスは03(6252)8761、電子メールはhyoryu@kyodonews.jp (2008/11/25)

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