妊婦脳障害で年に10人死亡
産科と専門科の連携重要
 妊娠、出産に関連して脳出血などの脳血管障害を起こした女性は、2006年の1年間で少なくとも184人おり、うち10人が死亡したことが、厚生労働省研究班(主任研究者、池田智明・国立循環器病センター周産期科部長)の全国調査で分かった。
 妊産婦の脳血管障害に関し、国内の発生実態が明らかになったのは初めて。出産は年間約100万件あるため、1万人に1―2人が発症する計算だ。
 調査は全国の1582施設が対象。回答した1107施設(回答率70%)のうち115施設で、06年に妊産婦184人が何らかの脳血管障害を起こしていた。
 症状の内訳は、脳出血39人、くも膜下出血18人、脳梗塞25人など。このうち脳出血の死亡率は、3時間以内に診断された場合は8%だったのに対し、それを超えた場合は36%だった。
 ただ、寝たきりになるなど重度障害の割合は、3時間以内に診断された人の方が多く15人(60%)。これに対し、3時間以上の人は1人(7%)で「早く診断されたからといって必ず後遺症が軽くなるというわけではない」と、池田部長。
 脳出血を起こした妊婦の約半数は、脳出血との関連が指摘される妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)や何らかの血管異常がみられたが、残りは原因が分からなかった。また脳出血やくも膜下出血を起こした妊婦の80%余りが最終的には脳神経外科で治療を受けたものの、多くは最初に産婦人科を受診していた。
 研究班は06年に奈良県で脳出血を起こした妊婦が次々と受け入れを断られ、出産後に死亡した問題を受け実態を調査した。2年後の今年10月には、リスクが高い妊娠に24時間態勢で対応する施設として東京都の「総合周産期母子医療センター」に指定されている都立墨東病院からも受け入れを一時断られた妊婦が、脳出血で死亡する問題が起きている。
 池田部長は「センターが母子の生命を守る最後のとりでとしての機能を果たすには、脳神経外科など他の診療科との連携を強める必要がある。センターの指定にはそうした要件を加えるべきではないか」と話した。 (2008/11/25)

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