「恐怖で痛み認めず」も
がんの緩和医療で調査
 がん患者の苦痛を和らげる「緩和ケア」は、がん対策基本法にも早期から適切に行われるべきだと明記されているものの、十分な痛みの治療を受けている患者は少ない。
 背景には、我慢を美徳とする意識や、治療に使われる医療用麻薬への誤解などがあると指摘されているが、「がんへの恐怖感から、自らの痛みを認められない」といった心理状態も関係しているとみられることが、大手コンサルティング会社・ボストンコンサルティンググループの調査で分かった。
 手術後以外でがんの痛みを感じた経験がある人のうち、痛みの治療を受けたことがない人は64%。理由別に見ると「痛みを主治医に訴えたことがない」が最も多く29%、次いで「痛みを訴えたがうまく伝えられない」(16%)、「痛みを訴えたが詳しく聞かれなかった」(12%)の順だった。
 なぜ主治医に訴えないのかを分析するため、痛みを感じて10日以内に医師に伝えなかったという人に理由を複数回答で聞いた。「がんとは関係ないと思った」(36%)、「すぐに治ると思った」(22%)と、思い込みや誤解が多い様子がうかがえたほか「進行の兆候だと思うと怖い」(6%)とする回答もあった。
 さらにこうした人たちへのインタビューで、病気への不安や恐怖から、痛みを認めたくない心理がうかがえたという。
 今回の調査では医師20人へのインタビューも実施。ほぼ全員が「痛みの治療は重要だ」とする一方で、治療開始の時期は大半が「患者が痛いと訴えてから」と回答。「信頼関係があるので我慢せずに痛みを訴えてくれる」と思い込んでいる医師側と、不安や恐怖から痛みを認めたがらず、医師にも訴えない患者との間に溝があることが浮き彫りになった。
 がんの痛みは治療や手術の成否と必ずしも関係ないことや、末期に出るとは限らないことなど、正しい知識を持つ患者ほど、痛みを我慢する割合は小さかった。患者が重視する情報源として挙げたのは医師が圧倒的に多く、医師が限られた時間の中で効果的な対応をすることの重要性が示された。 (2008/11/18)

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