微細な対象、鮮明に撮影
次世代型CTが登場
心臓、肺疾患の早期診断に
 画像診断装置の中でも、技術革新が特に著しいコンピューター断層撮影装置(CT)。近年は、エックス線照射装置などが体の周囲を1回転する間に撮影できる画像数を増やす開発競争が中心だったが、10月に発売された次世代機は、微細な対象でも鮮明にとらえる基本性能が大幅に向上した。心臓や肺の病気の早期診断などに役立つと期待される。
   
▽多列化
 CTは、エックス線を発生・照射する装置と、体を通過したエックス線を測定する検出器が、ベッドに寝た人の周囲を高速回転。得られたデータをコンピューターで解析し、患部を輪切りにした断層画像や、実際の臓器の状態を間近で見るような立体画像などを見ることができる。
 1970年代後半に登場した当初、検出器は1列で、1回転で1枚の輪切りの画像しか撮影できなかったが、90年代後半には検出器の数を増やすなどして1回転で何枚も撮影する「マルチスライスCT」が開発され、国内には16列や64列、320列の機種を使用する施設もある。
 多列化による最大のメリットは、より短時間で広範囲を撮影できることだ。ほぼ全身をつなぎ目なしに短時間で調べられるため、救急医療の現場などでも役立っているほか、特に力を発揮しているのが心臓。
 心臓は呼吸や拍動のため検査がしにくいが、64列なら5秒程度息を止めるだけ、320列なら1回転(0・35秒)で全体を撮影することが可能だという。
 
▽検出器に特徴
 心臓の筋肉に酸素や栄養を送る冠動脈が詰まって起きる狭心症や心筋梗塞の診断、患部に金属製の筒を留置するステント治療の結果の評価など、マルチスライスCTの用途は広がっている。一方で「さらに(患部画像の)描出能力向上に期待の声は大きく、一から開発を積み重ねた」と、次世代機を発売したGE横河メディカルシステム(東京)は説明する。
 最大の特徴は、検出器に使われ、エックス線を目に見える光に変換する「シンチレーター」の素材を、従来の重金属化合物から人工の宝石を主体としたものに変え、エックス線への反応速度を従来の約百倍にするなどしたことだ。
 小さなものを識別する能力を示す「空間分解能」は従来型に比べ33%向上。分解能は中心部から離れるほど低下するが、新型では中心から20センチのところで44%改善したという。
 
▽プラークの状態も
 ステントを留置した同じ患者の患部を従来型と新型で比較した米コーネル大医学部のジェームズ・ミン准教授は「従来型ではステントの内側に影のような物は見えるがはっきりしない。新型では再狭窄の度合いまでよく分かる。診断上の『確信』が上がる」。
 冠動脈の内側にたまったコレステロールなどの塊(プラーク)の状態を把握し、心筋梗塞のリスク診断などにも生かしたいとしている。「実際はプラークがなくてもCT検査では疑いを捨てきれず、(体への負担がより大きい)カテーテル検査をする場合が多いが、こうしたケースを減らせるのでは」とミン准教授。
 肺では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断が有望。これまでとらえることが難しかった気管支の細部まで状態を調べられるようになるのではないかという。
 画像処理技術の進歩による被ばく線量の低減もメリットのひとつで、GE社によると、従来と同じレベルの画像であれば、半分程度の放射線量で撮影が可能だ。(共同通信 江頭建彦) (2008/11/18)

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