ロコモティブ症候群に注目
「要介護」防止へ学会
 整形外科の分野で「ロコモティブシンドローム(症候群)」という概念が注目を集めている。ロコモティブは、骨や関節、脊椎(せきつい)など「運動器」のこと。これらの障害によって要介護の状態になる危険性が高まった状態をこう呼んで、効果的な予防につなげていこうと、日本整形外科学会(理事長・中村耕三東京大教授)が啓発活動を開始。
 今年五月には専門医らによる「日本ロコモティブシンドローム研究会」もスタートした。広く知られているメタボリック症候群のように「ロコモ防止」の機運が盛り上がるか。
 「そのままにしておくと、運動器不安定症になる危険性が高い」。ロコモティブシンドロームについて、江戸川病院慶友人工関節センター(東京都江戸川区)の泉田良一センター長はこう説明する。
 運動器不安定症は、高齢化でバランスをとる能力や移動する能力が低下し、転倒の危険性が高まったり、寝たきり、閉じこもりになりやすくなったりする状態。要因として骨粗しょう症、また・ひざの変形性関節症、脊椎の変形、さらにこれに伴う神経障害などが挙げられる。
 一方、ロコモティブシンドロームは不安定症よりは広い概念で、高齢者特有の病気といった年齢の枠はないという。
 「高齢者のQOL(生活の質)を損なう大きな要因である寝たきり、要介護を防ぐために、運動器障害の予防を強く打ち出したのがロコモティブシンドロームの考え方だ」と、泉田センター長。
 現在、運動器不安定症は①目を開いた状態で、片脚で15秒未満しか立っていられない②いすから立ち上がって3メートル先の目印を回り、再びいすに座るテストで、11秒以上かかる―のいずれかに該当することなどで評価している。
 日本整形外科学会は今後、運動器の健康をチェックできる簡単なテストや、効果的な予防法の開発などに取り組む方針。
 「今の日本では、お年寄りが亡くなる前に、寝たきりや閉じこもりとなる“療養人生”が平均6年ほどある。この期間をどれだけ短くして健康寿命を延ばすことができるかが課題だ」。泉田センター長は、症候群提唱で予防の取り組みが進むことに期待している。 (2008/11/04)

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