国内でも最新の手術可能に
骨盤臓器脱、負担軽く
 子宮やぼうこう、尿道、直腸など骨盤内の臓器が下がり、膣に押し出される「骨盤臓器脱」(性器脱)に対し、人工材料のメッシュで臓器が下がらないよう支える手術が普及してきた。「面」で支える方法に加え、テープ状の材料を使い「線」で支え、体への負担を減らす手法も始まった。
 骨盤の底には出産のために大きな穴が開いており、この穴を骨盤底筋群という筋肉がふさいでいる。骨盤臓器脱はこれが損傷して起きる。
 「底筋群は赤ちゃんが産道を通過する際に引きちぎられる格好。筋肉の状態は次第に回復するが、中の神経は障害が続き筋肉の収縮が悪くなる。これが臓器脱を引き起こすと考えられる」。こう話すのは、四谷メディカルキューブ(東京都千代田区)で女性泌尿器科を担当する嘉村康邦部長。
 軽度なら自覚症状はない場合が多いが、下がる臓器によって次第に排尿・排便障害、膣内の異物感などが現れ、子宮が体外に出ることも。
 出産した女性の半数が何らかの形で経験するともいわれ、嘉村部長は「命にかかわる病気ではないが、生活の質(QOL)の点では大きな問題だ」と話す。
 手術療法は、かつては緩んだ膣の壁を一部切除して縫い縮める方法が行われていたが、1年以内に30―60%が再発するため、2000年代に入り開発されたメッシュ利用の「TVM手術」が注目されるようになった。
 鼠径ヘルニアの手術などで20年来使われているポリプロピレンのメッシュで弱くなった組織を補強し、ハンモックのように臓器を四点で支える。手術は開腹は不要で、症状によって30分―3、4時間程度だという。
 さらに、嘉村部長ら国内の数人の医師は、大きなメッシュでなく細いテープ状のメッシュを3―6本使い、臓器を支える靱帯を補強・強化する最新の「TFS手術」も手掛ける。オーストラリアの医師が考案。「TVMに比べ、メッシュの量や、はく離する膣壁の面積が小さく、患者の負担は軽い」と嘉村部長。
 ただ、臓器の安定性などはTVMの方が優れ、病気の進行程度や症状、患者の要望に応じ適切な手術を選ぶべきだという。安全性や再発率の長期的な検証はこれからで、今のところTFSには保険も使えない。 (2008/10/21)

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