薬剤ステントは再狭窄なし
市販後調査で好結果

  狭心症などの冠動脈疾患の治療を一変させた薬剤溶出ステント。それまでの弱点だった「再狭窄(きょうさく)」が起きないとして、日本でも昨年8月に保険適用されたが、その後の市販後調査でも良好な結果が出ているという。
 冠動脈にカテーテルを入れ、詰まった部分を開通させる心血管インターベンション治療は、1977年のバルーン拡張術が幕開けだった。

少ない患者への負担

  しかし血管を傷つけることで急性冠閉塞(へいそく)が起きるという欠点があり、金属で編んだ管であるステントをはめる治療が開発された。だがステントにも設置する際にできた傷を修復しようとして再狭窄が起きる弱点が出現。薬剤ステントはこれを解決するため登場した。
 表面に免疫抑制剤を塗り、ステント設置で炎症が起きる期間、溶け出すようにして再狭窄を防ぐ。これまで広く行われていた、血流の迂回(うかい)路を作るバイパス手術に比べ患者の負担が少なく、あっという間に広がった。
 ただ海外での臨床試験で効果が確認されているものの、国内のデータはない。さらに治療後に血栓が起きるのを防ぐため服用する抗血小板薬が海外と日本では種類が違うため、承認に当たり国内での市販後調査が義務付けられた。
 調査は国内の50病院で2年間に2000人の埋め込み患者を対象に効果と安全性を検証する。このうち一年目の患者585人を解析した中間報告がまとまった。
 ▽重大事故は1・19%
 その結果、術後3カ月以内の死亡や心筋梗塞(こうそく)などの重大心事故の発生は1・1 9%の七人。しかも、5人はステントとの因果関係はなく、残りも「関係不明」だった。  また血栓症の発生も0・17%にとどまり、評価委員会のメンバーである東海大病院の伊 苅裕二(いかり・ゆうじ)教授(循環器内科)は「薬剤ステントは、課題だった再狭窄問題を克 服した」と評価する。  ただ治療後、別の手術や胃カメラ検査などで、出血に備えアスピリンなどの抗血小板薬の 服用を中止したため、血栓症を起こしたケースがあり、伊苅教授は「ステント治療を受けた 患者は服用を中止しないよう注意が必要」としている。  また「ステント設置時は患部を完全に覆う長めのものを選び、十分な圧力で広げることが より好成績につながる」と指摘している。


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