最初の受診には工夫が必要
杉山孝博医師に聞く
 認知症の早期診断を実現するためのこつを、社団法人「認知症の人と家族の会」副代表理事の杉山孝博・川崎幸クリニック(川崎市)院長に聞いた。
 認知症患者の家族は4つの心理的ステップをたどります。「戸惑い・否定」「混乱・怒り・拒絶」「割り切り・あきらめ」そして「受容」です。
 どの人も初めは「戸惑い・否定」。今までしっかりしていた人が子供の名前も分からなくなる。誰もが戸惑うわけです。
 この時期には「認知症の人と家族の会」や地域包括支援センターに相談できると教えられても、なかなか相談しようという気になれない。  なぜかというと、まず身内が認知症になったことを否定したい。相談に行ったことが患者ご本人に分かったらどう言われるかという思いもある。
 「早く受診を」と勧められても、自覚症状がなく、言うことを聞かない人を連れて行くのは大変。相当な工夫が必要で、それを伝えてあげないと受診させるのは難しい。
 では、どうすればいいか。普通に説明して、本人が「受けてみよう」ということになるのが一番いい方法です。
 精神神経科に抵抗がある人は、物忘れ外来とか老年科、神経内科などに一度かかって検査を受け、さらに必要なら精神神経科を受診してもらう。
 本人の自覚がない場合、介護者が「私が健康診断に行きたいんだけど、付いてきてくれませんか」とお願いする。
 あらかじめ病院に話をして二人一緒に診察室に呼んでもらい、介護者の診察が終わったら、医師から本人に「目まいとかがないですか」「せっかくだからCTを撮りましょう」と言ってもらう。
 病院が絶対に嫌な人は、保健所の老人精神保健相談を利用する。かかりつけ医に専門医の診察を勧めてもらうのもいい。
 受診の付き添いは二人がいい。認知症が始まると、じっとしていられない方が多い。一人が手続きをして、もう一人が本人に付き合って動く。
 認知症患者には脳腫瘍や慢性硬膜下血腫が原因の人もいて、その場合は治療できます。医療にかかることで介護サービスが利用できるようになり、家族もある程度割り切れるようになる。だから早期診断が大事なんです。
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 すぎやま・たかひろ 47年生まれ。東京大医学部卒。「家族が認知症になったら読む本」(リヨン社)など著書多数。 (2008/09/16)

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