参加する医療へ意識変えて
上野直人准教授
 がん治療などで最近注目されている「チーム医療」。主治医だけでなく看護師、薬剤師らが専門性を生かし治療に参加、その中心に患者がいるという考え方だ。最先端の米テキサス大MDアンダーソンがんセンターで実際にチームを率いる上野直人准教授を訪ね、患者側に求められることや日本の課題を聞いた。

 ―患者に必要なのは。
 まず「お任せ」から「参加型医療」への意識改革。医師に積極的に説明を求める姿勢が重要だ。自分の病気を「知る責任」を果たすとも言える。

 ―遠慮や気遣いから聞きにくいと考えがちだ。
 質問という行為は単純のようで、実は高度なコミュニケーション技術が必要。スポーツと同じく普段の練習が肝心で、風邪などで病院に行く機会に練習するといい。医師に会うときはメモやテープレコーダーの活用を。短い会話でも意外に情報が凝縮している。分からない点があれば、そう伝えるのも忘れずに。
 ―日本の病院ではゆっくり聞く時間もない。  医師が忙しく、質問を切り出しにくければ「いつなら時間を取ってもらえますか」と尋ね、面談前に、簡潔にまとめた質問リストを提出するのが有効。また看護師や薬剤師など、医師以外に説明してくれる人がいるか、聞いてみるのもいい。

 ―日本のチーム医療の現状をどうみるか。
 一部の病院でしか意義が理解されておらず、国全体のシステムが変わるには時間がかかる。だが医師と患者のコミュニケーションは、患者が自分の病気を理解し、質問上手になればすぐ改善できる。そうした努力の積み重ねが良い病院を育てることになるし、コミュニケーションはチーム医療の最重要要素でもある。

 ―今後の課題は。
 日本は伝統的に主治医の権限が強く、報道などでもスーパーマンのように医師を美化する傾向がある。だが医師の熱意や努力だけに期待して治療していたら、不幸な医療事故が起きるのは必然。一人の名医より病院全体のシステムを育てることが重要だ。また、ゴールに向かって走っているのは患者自身ということを常に忘れないでほしい。
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 うえの・なおと 京都市出身、和歌山県立医大卒。横須賀米海軍病院などでの研修後、93年からMDアンダーソンがんセンターへ。03年より現職。(ニューヨーク共同) (2008/08/05)

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