外資製薬研究所、日本離れ
中国など新興国には新設
 外資系製薬会社が日本に置いた研究拠点を昨年から今年にかけて相次いで閉鎖、一方でアジアの新興国では拠点新設が続いている。特にバイオ・製薬産業を国家戦略として重視する中国は、受け入れ態勢の整備を進めており、日本の製薬関係者は危機感を強めている。
 「企業は魅力ある資源を求めて、研究開発活動の場を拡大している。企業が国を選ぶ時代に入った」。日本製薬工業協会が設置する医薬産業政策研究所の八木崇・主任研究員らは、拠点閉鎖を「憂慮すべき問題」と指摘し、日本の魅力を向上させる必要があるとしたリポートをまとめた。
 2007年、バイエル薬品が神戸リサーチセンター、グラクソ・スミスクライン(GSK)が筑波研究所を閉じた。ファイザーの名古屋中央研究所と、ノバルティスファーマの筑波研究所も、年内に閉鎖される。
 バイエル薬品神戸センターは「iPS細胞」を人の皮膚から作製するのに成功するなど、高い技術力を誇った。同社の島崎真広報部長は、創薬の環境が変わったことを挙げる。
 「新薬の候補物質を選別する手法や見つかった遺伝子、タンパク質の一つ一つに特許の網がかかっており、研究開発コストに響くようになった」。研究領域は自然と狭まり、親会社のある欧州と日米に研究拠点がある場合、削減は日本になる、というわけだ。
 ノバルティスファーマは、基礎研究機能を米国に統合し、開発機能は東京に移管。ファイザーも「基礎研究は長男の米国と次男の英国に集約する」としている。
 これに対し、中国では2000年代に入りロシュ、アストラゼネカ、ノバルティス、GSKが上海に拠点を新設した。背景にあるのが金、人、立地といった条件整備だ。  八木さんによると、科学技術関連予算を重点的に配分。大学院修了者は02年から3年間で倍増、海外で学んで帰国した留学生も年間4万人を超える。
 さらに、大学や公的研究機関、外資系企業、ベンチャー企業が集まった「バイオバレー」が形成され「同じ地域の中にいることで地域全体の生産性が高まることになる」と、八木さんと共同研究した笹林幹生・元主任研究員(万有製薬)は説明する。
 八木さんは、日本でも国際共同研究の推進やベンチャー育成などを通じ、外国企業の研究拠点誘致の取り組みが必要だと訴えている。 (2008/07/08)

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