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1日1回、患者の負担減 体外に効率的に排出 |
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赤血球の輸血を続けることなどで鉄分が体内に蓄積、さまざまな臓器に障害が出る「慢性鉄過剰症」。国内で治療が必要な人は5000―6000人程度とされ、鉄を体外に出す「キレート療法」が中心的な治療として行われている。従来の薬は注射を連日行うことが必要で患者の負担が大きかったが、1日1回の経口投与で効率的に排出させる新薬が国内でも発売された。 ▽赤血球輸血が原因
人は通常、食事から1日平均1―2ミリグラムの鉄を吸収。赤血球に使ったり肝臓に蓄えたりする。一方、細胞が新しいものに入れ替わるなどして排出されるものもあるため、体全体での鉄の量はほぼ一定に保たれる。赤血球の輸血を頻繁に繰り返すと、中に含まれる鉄分を過剰に体内に取り込むことになるが、こうした場合でも積極的に排出する体の仕組みはないため、だんだん蓄積されてしまう。これが鉄過剰症だ。食生活が原因でこの病気になることは通常ないとされる。 鈴木隆浩自治医大講師(血液内科)によると、日本人で赤血球輸血をしなければならない主な病気は、免疫の異常などで血球が減少する再生不良性貧血や、血液細胞のもとになる造血幹細胞に異常が生じ、正常な血球などをつくることができなくなる骨髄異形成症候群。 「標準的な治療でも、ひと月の輸血で200―400日分の鉄が蓄積されてしまい、過剰症を引き起こす」と鈴木講師。 ▽連続10時間も
蓄積は肝臓や心臓、膵臓(すいぞう)で頻度が高く、皮膚でも色素沈着が起きる。放置すると肝硬変や心不全、糖尿病などの危険性が増し命にかかわる場合もあるが、鉄過剰症特有の自覚症状はないという。厚生労働省の研究班は、赤血球の総輸血量と、鉄量の指標とされる血清の「フェリチン値」を基に、診断や治療開始の指針を策定している。キレート療法では、注射剤のデフェロキサミンメシル酸塩(一般名)が使われてきたが、効果が持続しないのが難点。真部淳・聖路加国際病院小児科医長は「体内で薬の有効濃度を保つには、1日8時間以上の注射が必要。毎晩、10時間の皮下注射を自宅で続けている5歳の子どももいる」と話す。 赤血球輸血を受ける患者は血小板や白血球が減っている人も多く、注射で出血や感染症の危険性も高まる。こうしたことから、国内で輸血を受けている約290人を対象にした調査では、望ましいとされる連日の注射治療を受けている人は9%にすぎなかった。 ▽作用が持続 新たに発売されたデフェラシロクス(同)は水に入れ混ぜて服用する懸濁(けんだく)用錠で、高齢者や子どもにも服用しやすく、100カ国近くで既に使われている。製造・販売会社のノバルティスファーマによると、薬の濃度が血液中で最高になってから半分になるまでの時間は、デフェロキサミンが5―10分だったのに対し、デフェラシロクスでは8―21時間で、作用時間の差は大きい。 「毎日の通院や、長時間の注射を続ける生活から解放されることは、患者本人だけでなく、家族にとってもメリットがある」と真部医長。 デフェラシロクスの副作用は吐き気や下痢といった胃腸症状、腎臓の検査値の異常、発疹(ほっしん)など。ほとんどは軽度か中度という。 鈴木講師は「高齢化で特に骨髄異形成症候群の患者が増えており、この薬の必要性は今後、大きくなるだろう。ただ、一般的に高齢者では副作用も出やすいため注意が必要だ」と話している。(共同通信 江頭建彦)(2008/07/01) +font> |