『高齢者の肺炎 1』

怖い誤嚥事故 
大類孝・東北大助教授

 

日本人の死因の第四位を占める「肺炎」。特に高齢者が発症すると、死に至る危険が格段に高くなる。効果的な予防にはどのような方法があるのか。この問題に詳しい東北大病院老年・呼吸器内科の大類孝(おおるい・たかし)・助教授に聞いた。

 

―高齢者で肺炎が問題になるのはなぜですか

 「お年寄りはいろいろな基礎疾患を持っているので、若い人に比べ抵抗力が落ちていることがまず挙げられます。病原性がそれほど強くない細菌でも肺炎を起こしてしまいます。そしてもう一つが誤嚥(ごえん)を起こしやすいこと。この二つが高齢者に肺炎が多く、しかも重症化しやすい理由です」

 ―誤嚥というのは?

 「ものをのみ込むことを『嚥下(えんげ)』といいます。本来、食道に入る食べ物が誤って気管に入ってしまうのが誤嚥です。口の中やのど、鼻には普段から多くの細菌がいます。これらは通常なら肺には行きませんが、誤嚥が起きると侵入してしまう。それで起きる誤嚥性肺炎が多いのです」

 ―本来、自分が持っている細菌が起こす

 「そうです。普通なら気管にものが入ろうとすると、激しくせき込んで排除します。これはせき反射という防御機構ですが、高齢になるとこれも衰える。だから知らないうちに誤嚥を起こしていることが多いのです」

 ―高齢になるとなぜ防御機構が衰えるのでしょう

「実は脳血管障害が関係しています。脳の中でも大脳基底核という部分の血管が詰まって梗塞(こうそく)が起きると、嚥下機能やせき反射が落ちてきます。大脳基底核は、延髄にあるせき反射や嚥下の中枢を制御しているとみられます。さらに厄介なことに、大脳基底核の障害は、手足のしびれなどの症状が現れにくく、気づかないことが多いのです」

 


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