ミニ肝臓で創薬手助け
培養・選別キットを開発
 新薬の候補物質のうち、国の承認を受けて製品となるのは1万分の1から5000分の1と言われ、候補物質を絞り込む上では薬物動態や毒性の試験が欠かせない。こうした作業をプレート上で培養した肝臓の細胞を使って行えるキット「セルエイブル」を、ベンチャー企業のトランスパレント(千葉県印旛村)などが開発した。
 肝細胞が微小な塊状になった「ミニチュア肝臓」を実現、1カ月以上の長期培養を可能にした。候補物質の選別(スクリーニング)にかかる時間と費用を減らせるといい、医薬品や化粧品のメーカー向けに販売を始めた。
 候補物質の安全性を動物で調べる試験は、開発コストや動物愛護などの観点から削減方向にあり、細胞を使って生体内と同様に行える試験の需要が高まっているという。
 中でも肝臓は「薬物を体外に排出しやすい構造に変化させたり、毒物を分解したりするので、候補物質の試験や評価で最も重要」(佐倉武司社長)といい、同社は肝細胞培養ツールの開発に取り組んだ。
 製品は縦9センチ、横13センチの培養プレートと培養液のセットで20万円。プレートには直径7ミリの穴が96個あり、血管内皮細胞と肝細胞を穴に入れて培養すると「内皮細胞が肝細胞を包み込むような格好になる」と、基礎研究を担当した国立成育医療センター研究所移植・外科研究部の絵野沢伸室長は説明する。
 内皮細胞と肝細胞の間に、実際の肝臓でみられる「ディッセ腔」というすき間があり、生体内に近い状態であることも確認できたという。
 平面的に広がろうとする細胞を塊に保つため、感光剤メーカー東洋合成工業(千葉県市川市)の高分子材料を使った。プレートの穴の底には直径0・1ミリの浅いくぼみが800個ずつあり、くぼみ以外の部分に高分子材料を使うと、くぼみに約50個の細胞が塊状に形成された。
 穴1つで約4万個の細胞が培養でき、プレート1枚で一度に96の試験ができる。12穴(穴の直径2・2センチ)のプレートもある。
 絵野沢室長は「培養は難しいとされてきた凍結保存後の細胞の培養も可能になった。再生医療や遺伝子治療など医療への直接的な利用も期待できる」と話している。 (2008/06/24)

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