家族は「温かな無関心」で
山口律子MDA代表

うつ病の人の家族が心掛けるべき点について、職場復帰を支援する特定非営利活動法人(NPO法人)「MDA(うつ・気分障害協会)」の代表で保健師の山口律子さんに聞いた。
 ―どう接すればいいのでしょう。
 「病気の急性期と回復期で、対応は異なります。患者が不安やイライラ、何事もおっくうに感じる急性期は、励まさない、決断を求めない、外出や趣味を勧めない。十分な休養を取らせて、薬物治療を受けさせます。休養は1日中寝ていることではなく、生活のリズムとリラックスできる環境をつくることです」
 ―回復期は。
 「おっくう感が抜け好きなことができるようになったら、食器洗いや洗濯物の片付けなど一緒にできる家事を手伝ってもらうことから始めます。慣れたら外出したり電車に乗ったりと徐々に負荷をかけ、職場で経験するストレスに近づけます」
 「『何々をしてくれたら会社に行く』と言うのを受け入れては駄目。過保護と過干渉は、社会的な回復を遅らせることになります。愛情を持って適度な距離を取り、手を差し伸べる『温かな無関心』が重要です」
 ―何に気を付けるべきでしょうか。
 「うつ病は適切な治療とケアによって治りますが、再発しやすいので、その兆候を見逃さないこと。不眠や食欲不振など発症時とほぼ同じ症状が出ます。また、普段見せない態度を急に取るなど明らかに様子が違う場合は、自殺の恐れがあります。迷わず病院に連れて行ってください。家族がサインに気付けるかどうかがポイントです」
 ―家族の負担も大きいですね。
 「家族の40%以上は、治療を必要とするほど精神的なストレスを抱えています。頑張りすぎない。ケアがつらいと感じたら、患者から離れる時間が必要です。趣味やショッピングを楽しむ心のゆとりが鍵になります」
  ×  ×  ×
    やまぐち・りつこ 長崎県出身。東京都内の保健所で勤務、米国で心理教育プログラムを学んだ経験を基にMDAを02年に設立。現在は日立キャピタル損害保険シニアメディカルアドバイザー。 (2008/06/10)

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