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薬の局所投与に利用も がんの血管内治療 |
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がんに栄養や酸素を供給する血液の流れを止め、「兵糧攻め」にして壊死させたり成長を阻止したりする血管内治療の動脈塞栓術が進歩している。血管に詰める物質が小さくなり、正常組織への影響を減らせるほか、薬を局所に届ける「ドラッグデリバリー」の手段としても有望という。 ▽4倍に膨張
ふとももの付け根などから動脈に入れた細い管をがん組織に直接つながる血管付近までもっていき、ふさぐのが動脈塞栓術。開腹手術より体への負担が少なく、肝細胞がんなどで行われてきた。課題のひとつが塞栓材料だ。ゼラチンが原料のスポンジ状物質などが使われているが、治療できるのは太い動脈が中心。血管内治療が専門の堀信一・ゲートタワーIGTクリニック(大阪府泉佐野市)院長は「思った場所に詰められず、正常組織への血流を妨げてしまう場合がある。炎症などの副作用も少なくない」と話す。 堀さんは1980年代から新しい材料を研究し、合成樹脂製の粒子状材料を開発した。直径は最小0・05ミリで、水分を吸収すると約4倍に膨らむのが特徴。2002年の開院から約1年間、肝細胞がんでほかの治療法がないとされた患者を中心に約100人に使用し、1年後の生存率は76%。 米国の会社が製品化し04年以降、米、フランスなど30カ国以上で販売されている。日本では未承認のため、同クリニックは個人輸入して使っている。 ▽新生血管が標的
がん細胞は、増殖するうちに新たな動脈を呼び寄せるように「新生血管」に成長させ、ここから栄養や酸素をもらい勢いづく。堀さんらの塞栓術は、この血管が主な標的だ。「新生血管は多くが直径1ミリ以下。部位に応じてわれわれの材料を詰めれば、正常組織への影響は最小限」という。治療は、血管造影とCTが一体になった装置を使い、3次元の画像を見ながら患部にマイクロカテーテルと呼ばれる極細の管を挿入。先端部から塞栓材料を注入する。局所麻酔で2、3時間の治療を通常は2泊3日の入院で行い、必要に応じ繰り返す。 開院以来、症例数は肝細胞がんを中心に3500以上。外科手術や放射線療法など従来の治療法で「もう打つ手がない」と言われた人も少なくないという。対象も乳がんの局所再発や肝転移、肺がん、骨に転移したがんなどに広がる。 ▽薬の効果高める
塞栓術では血管をふさぐ前に抗がん剤を注入する場合が多いが、堀さんらは体の状態が悪い人や薬を希望しない患者らには、塞栓術だけの治療も実施している。一方、薬の効果を高めるのに塞栓術を利用する臨床研究も進む。手術や従来の塞栓術、患部を電磁波で焼くラジオ波焼灼術で効果のなかった患者が対象で、抗がん剤シスプラチンを肝動脈に注入する治療と、堀さんの粒子状材料など2種類の塞栓材料を組み合わせた方法。薬が高濃度で患部に留まることを狙っており、余命数カ月を告げられた人が大半を占める162例の1年生存率は53%だという。 水分を吸う性質を利用し、塞栓材料に抗がん剤を含ませて患部の血管をふさぐ治療も。抗がん剤は通常の数分の1から10分の1の量で済み、肝細胞がんの再発を繰り返していた患者で1年近く効果が維持できているケースもある。 堀さんは「開発が進む分子標的薬なども利用を検討したい。どの血管に詰めれば薬ががんに届くかを見定めながら治療することが大事だ」と話している。(共同通信 江頭建彦)(2008/05/26) +font> |